地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2008年6月22日号(1426号)に掲載した「後期高齢者医療について その3」です。一部修正しています。
(第171回 7月15日 )
6月6日参議院本会議で、後期高齢者医療制度廃止法案が野党等の賛成多数で可決され衆議院に送付されました。
与党内からも「至急元に戻して新しくもう一回考え直す」(中曽根康弘元首相)、「いったん凍結してゼロベースで国民的議論を」(堀内光雄自民党元総務会長)などの声がでており、速やかに衆議院で審議を行い廃止すべきです。
ところが、6月11日に予定されていた、法案の趣旨説明と質疑が、民主党、社民党などが本会議出席をボイコットしたため、審議入りができないという異常事態になりました。
日本共産党の穀田恵二国対委員長は、自民党の大島理森国対委員長と国会内で会談し、「与党から提起のあった趣旨説明・質疑は、ぜひやるべきだ」「自公両党議員の質問要旨も11日に発議者である小池晃議員のもとに寄せられ、答弁準備も整えた。答弁の機会を与えていただきたい」と求めました。
大島氏は、日本共産党が趣旨説明、答弁することについて、他の野党の同意を条件としながらも賛意を示しましたが、民主党・社民党などがこれに同意しなかったため、会議そのものが流会となったものです。
2000年11月の老人医療の定額制の導入などを柱とした健康保険法・医療法改定時の、付帯決議の中の一つに、老人保健法にかわる新しい仕組みを作るという内容がありました。これが、後期高齢者医療制度の原型となっているもので、この付帯決議に反対したのは日本共産党だけでした。今回の衆議院での民主党などの審議ボイコットの事態を見ていると、本当に反対しているのかと疑問を抱きます。
国会がこのような状況になっている以上、新たな運動が必要です。
年金者組合などが中心となり、全国的に後期高齢者医療制度に対する「不服審査請求」運動が行われています。全日本年金者組合のまとめでは、6月13日までに13都道府県・2291人にのぼることがわかりました(しんぶん赤旗)。
不服申請は、各都道府県の後期高齢者医療審査会に対して、被保険者やその代理人が集団で申請するものです。後期高齢者医療制度への抗議と、同制度廃止を求める運動を広げる目的で行われていますが、申請の主な理由は「保険料が高い」「勝手に天引きするのは納得がいかない」「高齢者を医療で差別するのは憲法違反だ」などで、それほど難しい取り組みではありません。
こういった運動を広げながら、高齢者自身の運動として取り組んでいく必要があります(本稿は6月14日現在の情報で執筆しています)。
※7月14日追記:7/11は都合により休載しました。出張直前に送ったメールに、ファイルを添付するのを忘れていました(笑)。さて、次の臨時国会では必ず衆議院で後期高齢者医療制度廃止法案が審議されるように、署名運動などに取り組む必要があります。新しい署名用紙は、以下のHPからダウンロードできます。
http://www.min-iren.gr.jp/topics/date/080703-01.pdf |