(第160回 6月3日 )
県民ホール前の掲示です 5月31日(土)香川県県民ホール小ホールで、香川医療生協と医療生協たかまつの共催で、「地域の医療を守ろう〜講演と『シッコ』上映会〜」が開催され、午前・午後合わせて300人を超える方が参加しました。
『シッコ』(SiCKO)とは、英語の俗語で「病人」「変人」などを意味する言葉で、さしずめ「ビョーキ」とカタカナで表記すれば雰囲気が出ると思います。今回の映画上映に当たって、米国の医療保険制度の問題点を私が20分講演してから映画を鑑賞して頂きました。以下、講演内容から抜粋します。
米国では、国民皆保険制度がなく65%の国民は私的な医療保険に加入、20%が日本の老人医療に対応する「メディケア」か生活保護に対応する「メディケイド」に加入、残りの15%(7人に1人)が無保険状態です。保険がなければ、「命の沙汰も金次第」ですから、大変な事になります。
映画「シッコ」は、保険に加入していても、医療費が高い、医療内容に保険会社が介入して十分な医療が受けられない現状をリアルに描いています。
米国では基本的に自由診療ですから、医療費は日本に比べケタはずれに高いという問題があります。外務省のHPによれば、ニューヨーク・マンハッタン区は区外の2倍から3倍であり、一般の初診料は150$から300$、専門医なら200$から500$で、日本の約10倍以上になります。入院すると室料だけで2千$から3千$で、日本の約20倍です。急性虫垂炎の手術で1日入院すると1万$(100万円!)以上ですが、日本では7日入院で約30万です。
HMO(健康維持組織)という民間医療保険組織が最も大きく、加入すると主治医を決め、すべてHMOと契約している特定の医師を最初に受診します。その後、専門的な医療は主治医を通して紹介受診することになります。
パワーポイントを使って、
米国の医療の仕組みを解説しました 医療内容はマネジドケア(管理型医療)問題は、必要な医療内容を医師が判断するのではなく、保険会社が「その症状では血液検査は不要」とか、「CT検査は認めない」など、介入して来ることです。また、受診する病院も保険会社と契約をしていなければ全額自己負担になります。
私は、香川県で例えてこう説明しました。高松平和病院の前で転倒し骨折したが、保険会社が契約しているのは三豊総合病院なので、高速道路を使って香川県の西の端にある観音寺市豊浜町までいった。痛み止めの薬の処方せんをもらったが、契約しているのは東かがわ市の引田町の薬局だった。また高速にのって香川県の東の端まで薬をもらいにいった。これが米国の医療です。
参考図書・HP
「誰が日本の医療を殺すのか」(本田 宏)洋泉社 2007.9
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/ny.html
http://sicko.gyao.jp/ |