地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2008年3月23日号(1417号)に掲載した「診療報酬改定 その2」です。
(第152回 4月25日 )
今回の診療報酬改定で、後期高齢者の扱いがどうなるかが、一つの焦点でした。
当初厚労省は、以下の仕組みを考えていたようです。
(1)後期高齢者医療の外来医療は定額とする
(2)主治医制を導入し、まず「後期高齢者主治医」(仮称)が診察した後、必要な医療機関を紹介する
(3)複数の医療機関の受診に制限を設ける
しかし、多くの医療団体や国民の反対の声を無視できず、厚労省も一定の譲歩を迫られたように見えます。
今回の改定では、主に診療所だけ定額制が導入されました。従って、現在病院に通院中の方はこれまで通り通院が可能ですし、医療費も定額制ではありません。
また、すべての診療所に定額制が導入された訳ではありません。患者ごとに算定することになっているので、患者が「イヤ」といえば従来通りの算定という事になります。あくまで、該当医療機関と患者との合意の元に算定することになります。
だったら何も変わらないではないか、という事になりますが、新しく導入した制度に医療機関がのってこなければ、何等かの「強制力」が働く可能性は否定できません。
また、厚労省の高官の「今回の目的は制度導入にある。次回2010年改定が本当の狙い」という発言も伝わってきています。
細かな内容は省きますが、月に一回は患者に診療内容を示す文書を発行する、三ヵ月に一回程度、年間の検査スケジュールを文書で渡すなど細かな決まりができていますから、今後の動向を注視する必要があります。
定額制の医療機関では、医療内容は次のようになります。医学管理料などの診察料、検査料(血液検査や腹部エコーや胃カメラなど)、画像診断(レントゲン検査やMRIなど)は、定額制の料金の中に含まれます。
一ヵ月に何回診察を受けても、何回検査をやっても医療機関の収入は同じです。例えば肺炎を疑って、血液検査やレントゲン検査を行っても、別に算定することはできません(CTなどの高額な検査はできますが、通常診療所にある器械は該当しません)。
医療内容が大幅に低下するのはまちがいありません。
※4月中旬時点での現状に合わせ、一部書き換えました。
※連休中は休載しますので、次回は5月9日(金)です。
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