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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2008年2月24日号(1414号)に掲載した「診療報酬改定 その1」です。

診療報酬改定について
(第146回 4月3日 )

 2月13三日の中医協(中央社会保険医療協議会)総会で、4月からの診療報酬改定案が了承され、厚労相に答申が行われました。

 診療報酬とは医療の公定価格の事ですが、社会保障費抑制政策により一貫して下げ続けられ、最近では医療機関の倒産の増加が急速に進み「医療崩壊」の一因になっています。

 また、「お産難民」「救急医療体制の崩壊」など病院勤務医の退職問題を背景にして、中医協の議論の中でも、病院を中心に医療費の引き上げの声が上がる中で改定が行われました。

 しかし、医師の技術料など薬価等を除く「本体部分」では0.38%の引き上げにとどまり、土田中医協会長は「もっと多くの引き上げが望ましかった」と述べています。勤務医対策として1500億円を振り向けたとされますが、病院の収入増は平均して1%程度で、実効ある措置とはいえません。

 産科・小児科対策として、妊産婦や新生児の救急受け入れや、リスクの高い妊産婦の出産受け入れの優遇、20人以上小児科医(小児外科)がいる病院の評価などが行われています。この事自体は前進面として評価できますが、地域の中小病院に対する対策にはなっていません。

 再診料については、朝日新聞などマスコミが「勤務医の再診料が570円に対し、開業医は700円」と、あたかも医師が直接受け取るかのような意図的なキャンペーンをはってきた項目ですが、診療所は据え置き、病院は30円アップで決着がつきました。

 医療機関に初めてかかった時が初診料、引き続き同一疾病でかかった時が再診料です。患者に医療を提供する時の、いわば「基本料金」に当る訳で、この項目の引き下げは医療そのものを低く評価することにつながり、改悪にほかなりません。「勤務医対開業医」という対決図式を作る事自体が誤っています。

 リハビリテーションでは、主として急性期を過ぎた脳卒中のリハビリを行う回復期リハビリ病棟に、「成果主義」ともいうべき差別化が導入されました。改善が見込めなければ必要なリハビリが提供できなくなる可能性もあります。

 また、二年前の改定でリハビリ「打ち切り」が導入され社会的な問題になりました。今回の改定で、長期リハビリが可能になりましたが、一ヵ月に13単位(一単位は20分)という制限がつき、これを超える分は選定療養が可能とされ、「混合診療」が導入されたのと同じ結果になり問題を残しました。

 注:この記事は2月13日の中医協資料を元に書きました。

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