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4月からの後期高齢者の医療について(4)
(第144回 3月25日 )

 143回(3月21日付)の続きです。

 さて、142回で「後期高齢者診療料」という定額制度が導入されたことに触れました。慢性疾患を持つ場合が「後期高齢者診療料」の対象になりますが、算定できるのは一つの医療機関に限られます。従って、この制度が広まると、将来的には慢性疾患患者は一つの医療機関しかかかれなくなる可能性もあります(4月1日時点では、患者は医療機関を自由に選べます)。

 さて、「後期高齢者診療料」を算定する時には、3ヵ月に1回「後期高齢者診療計画書」を患者に渡す必要があります。病名・検査計画・治療方針などの他、「当院の連携医療機関(緊急時の入院先)」を記載することになっています。

 143回で示した項目の内、(3)後期高齢者外来継続指導料と、(5)後期高齢者外来患者緊急入院診療加算が、「後期高齢者診療料」にリンクしています。緊急時の入院先に記載された病院に入院した場合に病院側が算定できるのが「後期高齢者外来患者緊急入院診療加算」、その病院を退院して元の診療所に戻る時に診療所側が「後期高齢者外来継続指導料」を算定できるという仕組みです。

 病院と診療所が密な関係を持って連携することを評価しているという点では、一見前進に見えますが、「定額制」を選択した時だけの点数ですから、こういう形で「後期高齢者診療料」の算定を誘導していると言えます。

 (6)後期高齢者総合評価加算、(7)後期高齢者退院調整加算は、いずれも高齢者の退院促進のための項目です。

 「後期高齢者総合評価加算」は、入院した時から、「退院時にどのような生活を送るかということを念頭に置いた医療を行う」ためのものです。退院までに1回だけ算定可能で、一度算定すると途中で病状が変化して再度検討をしても算定不可です。もちろん、常に退院後の生活を念頭において医療を行うのは当然ですが、病院の収入は500円ですから何を評価しているのか大変疑問です。

 「後期高齢者退院調整加算」は、「退院困難な要因を有する後期高齢者に対し」退院を支援するためのものですが、こうみると、後期高齢者の入院患者については、退院を促進することについて大変熱心に評価していることがわかります。

 注:今回記載の「病院」には、ベッドを持つ診療所(有床診療所)を含んでいます。

(3月19日現在の情報を元に記載しています)

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