(第143回 3月21日 )
142回(3月18日付)の続きです。
後期高齢者の医療報酬については、「高齢者の医療の確保に関する法律」により、後期高齢者以外の一般の算定法によるとされていますが、今回の改定では一般患者の算定点数の中に追加される形で告示されました。
後期高齢者のみに適用となる項目をいくつかあげておきます。
- (1)後期高齢者退院時薬剤情報提供料
- (2)後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料
- (3)後期高齢者外来継続指導料
- (4)後期高齢者終末期相談支援料
- (5)後期高齢者外来患者緊急入院診療加算
- (6)後期高齢者総合評価加算
- (7)後期高齢者退院調整加算
などです。
このうち、(1)は、退院時に処方した薬について、調剤薬局等で手渡される「お薬手帳」などにシールを貼り、退院後に活用してもらうためのものです。他の医療機関との間で薬剤が重複するのを避けるためのもので、一定の評価はできますが、どこまで徹底するのか少し心配です。(2)は、退院時に在宅での食事や栄養について指導するもので、評価はできますが、後期高齢者のみが対象で、本来は年齢に関係なく栄養士の活動を評価すべきで、後期高齢者はとにかく退院をという厚労省の意図が反映している項目です。
今回の改定で最も露骨に厚労省の意図が明確に表れたのが、(4)の終末期相談支援料です。人生の「終末期」にどのような医療や介護を受けたいかをあらかじめ医師が看護師などと話合っておくことを評価するというものです。もちろん、「リビングウィル」など、終末期に自分の受ける医療などについて意思を明確にすることは大事だと思います。
しかし、在宅等で、医師が患者の同意を得て家族と共に終末期における診療方針を話合い、文書や映像に記録し、在宅等で死亡すれば医療機関の収入になるというのは、「在宅での死亡」を誘導する、余りにも露骨な政策といわざるをえません。
注:在宅等、というのは病院への入院や老人保健施設への入所を除く、という意味です。
(この項続く。3月19日現在の情報を元に記載しています) |