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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2007年11月25日号(1405号)に掲載した「医療費適正化計画(2)」です。

健康保険の仕組みは都道府県単位に変更されます
(第125回 1月15日 )

 日本の主な保険制度には、主として中小企業対象の政管健保(政府管掌健康保険)、大企業を中心とした組合健保(組合管掌健康保険)、小売業や農業など従事者対象の市区町村国保(国民健康保険)、公務員が加入する共済組合健康保険などがありますが、この仕組みも大幅に変わります。

 まず、政管健保です。現在は社会保険庁が国の責任で年金と医療(健康保険)を運営していますが、社会保険庁の廃止の後、年金を運営する「ねんきん事業機構」と、健康保険を運営する「全国健康保険協会」に分離し、政管健保は「非公務員型」の公法人として国から切り離されます。

 2008 年 10 月に全国健康保険協会が設立され、都道府県単位に支部を設置、支部の医療給付実績を反映した保険料率が設定されます。 2006 年 11 月に開催された第 1 回全国保検協会設立委員会に試算が公表されています。 2003 年度試算では、全国平均が 8.1 (単位は%)、最高が北海道で 8.7 、最小が長野県で 7.6 、香川は 8.3 で、地域差が生じます。

 こういった地域差について、年齢構成や所得水準については極端な差が生じないように調整を行う予定ですが、医療給付費の差については地域間格差をそのまま反映させる方針です。つまり、医療費が増えれば保険料が上がる、それを防ぐためには「無駄の排除」「医療資源の効率的利用」という言い方で、外来受診を減らすか入院期間を短くするかと、受診抑制が公然と議論にのぼる可能性があります。

 さらに、「医療費適正化計画」の中で、厚労省は「適切な医療を効率的に提供する観点から都道府県の診療報酬の特例を設定可能」としています。特例というのは引き下げということですから、医療機関の経営を直接圧迫することになり、地域の医療体制に大きな影響を与えることになるでしょう。

 さて、個人が支払う健康保険料も変更されます。これまでも、個人が支払った健康保険料の一部は老人保健に投入されていましたが、その額は明確ではありませんでした。 2008 年度からは、「基本保険料」と「特定保険料」に分けられ明示されます。「基本保険料」は医療保険の医療や特定健診(つまり、自分たちの医療や健診)に使われます。「特定保険料」は、後期高齢者医療への「支援金」、前期高齢者への「納付金」、療養病床の「病床転換支援金」に分けられることになります。この「支援金」は後期高齢者医療費の増加に連動して増加しますから、この面でも医療費削減の声が上がることになります。このことは、世代間の無用な対立を引き起こします。


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