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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」という連載を5月から月に1回担当しています。後期高齢者医療制度について執筆した内容は、重複するので割愛して第4回目からの記事を転載します。 「民主香川」2007年8月26日号(1396号)に掲載した「特定健診制度について」です。

2008年4月から始まる特定健診について
(第103回 10月16日 )

 検診制度が、 2008 年から大きく変わります。これまでの検診は、「老人保健法に基づく健康診査」でした。今回の制度改定で、老人保健法は廃止となり「高齢者の医療の確保に関する法律」に変更になります。

 新しい検診制度の責任は保険者(健康保険組合や自治体)に移ります。検診の名前は「特定健診」、検診後の指導は「特定保健指導」と呼ばれます。

 40 歳以上 74 歳以下の被保険者および被扶養者について、特定健診の受診と特定保健指導を行うことを健康保険組合などの医療保険者に義務付け、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の該当者・予備群を、 2015 年までに 25 %減少することを目標に掲げています。

 項目も大きく変わります。厚労省は医療費を削減するために、脳卒中や、心筋梗塞・狭心症などの心疾患を減らす事を目的に、その原因でもある動脈硬化を標的にしています。そして、医療費のかさむ人工透析の原因疾患であり、動脈硬化の基礎疾患である糖尿病を検診の重点に据えています。

 これらの動脈硬化性疾患は内臓脂肪と関連が深く、腹囲(お臍の高さで測定)に比例することが解っています。内臓脂肪が 100 cm2以上を内臓脂肪型肥満としますが、簡単に測定できる指標として、腹囲が男性では 85 cm、女性では 90 cmを超えると該当します。

 検診の項目も、血圧測定、脂質(中性脂肪など)、血糖検査、肝機能検査、検尿が必須となり、これまでより項目数が縮小されています。

 コレステロールが高いと動脈硬化が進む、というのはご存知だと思いますが、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007 年版」が発表され、その考え方が少し変更になります。「高脂血症」から「脂質異常症」と呼び名が変わります。また、これまでコレステロールを下げる事が重点でしたが、これからはLDLコレステロール(動脈硬化を進める悪玉コレステロール)を下げる事が目標になります。

 検診の責任は自治体に移行していきますから、住民要求として検診項目の充実など運動化していく必要があります。

 また、 75 才以上の方は保険者の「努力目標」、生活保護の方は、健康増進法に基づき市町村が一般会計の範囲内で行うことになっています。この点でも自治体の意向を確かめながら、検診制度の充実をはかっていく必要があります。

 高松市などで行われている前立腺がん検診(PSA)も、健康増進法に基づき市町村が行う事になりました。厚労省はQ&Aの中で「特定健診と同時に実施するなど、地域の実状に応じ」て行うこと、としています。

 自治体との懇談を通じて住民に役立つ検診制度を確立していく必要があります。

 

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