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医師不足の原因は偏在ではなく絶対数の不足です(その3)
(第84回 8月7日 )

 第 26 回香川県保険医協会定期総会の記念講演、山家悠紀夫氏の「私たちの暮らしと財政赤字」の内容紹介の最終回です。

 日本の医療費について、「GDPに比べてどれだけ使っているか、1人当たり幾らの医療費を使っているか、日本は両方とも先進 20 ヵ国の中での下の方で、医療費の非常に安い国、医療費に金を使っていない国だ。圧倒的に医者も看護婦も少ない状況だ」と指摘しました。

 「「ベッド数を減らせばいい」と患者を病院から追い出す。そうしてベッド当たりの医者、看護職員の数は増えると解決を図る、医療の本来のところに問題が起こる」と現在の日本の医療制度の持つ問題点を明らかにしました。

 今の医療費削減政策を続けると、米国型の医療費が高く「大半の国民は医療費が払えない、病気になったら諦めて死ぬしかない厳しい状況になる」か、英国型の医療費を削減したために「病院、医者いじめ政策をとり病院が倒れて成り立たず閉めた。医者のなり手がなくなり、国民が医療サービスを受けられず悲惨な状況」(藤原注:ブレア政権以降改善傾向があります)になる。

 「国民負担を増やすのは避けられなくなるが、だから消費税というのは短絡的。負担の原則は能力のある人が負担するのが大事」として、以下のように述べました。

 一つは大企業で儲けが増えているので負担してもらう。二つ目は沢山稼ぐ人、高額所得者。三つ目は資産所得、株の売買などで稼いでいる人。「株式売買での儲けには 10 %しか税金がかからない。 10 億円稼いでも 1 億円、働いて1億円稼いだら所得税と住民税は 50 %で、明らかに不公平」。

 企業の負担能力だが「 1996 年度は 39 兆円の利益で 13 兆円の税金、 2004 年度は同じ利益で税金は 10 兆円、 3 兆円少なくてすんでいる」「国際競争力というが、経常収支は 20 兆円の輸出超過。税が増えると値上げをしないいけない、輸出競争に負けるというが、 20 兆円もゆとりがあれば、日本経済全体には何も問題は起こらない」

 高額所得者についても「税が高いから海外に逃げるというが、外国で日本と同じくらい稼げるのか。税制より、どれだけ稼げるかで住むところを決めるのが普通だ」と指摘しました。

 サラリーマンの課税所得でみると、日本は大変厳しい。「外国なら税金がかからないような所得でも日本では所得税が必要になる。税金は負担能力に合わせるべきだ。財政問題を解決するには、誰が負担するのかによって様々な方法がある。誰がどうやって舵を取るのか、選挙での選択が大事だ」と指摘して講演を終わりました。

 経済の問題をまとめて聞く機会は少ないので、大変興味深い内容で勉強になりました。

 

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