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山家悠紀夫さんの講演「私たちの暮らしと財政赤字」(その2)
(第82回 7月31日 )

 第 26 回香川県保険医協会定期総会の記念講演、山家悠紀夫氏の「私たちの暮らしと財政赤字」の内容紹介の続きです。

 国債残高 500 兆円余りについてどう考えるか、という事について、以下のように解説しました。「政府の借金は広い目でみなければいけない。政府は 538 兆円の金融資産、 1,018 兆円の固定資産をもっている。外貨は 1,000 兆円近く持っている。政府関係の企業の株もあり、差し引き 58 兆円の正味資産を持っている。借金が多いからといって慌てて返す必要はない」「もう一つの視点は、日本経済全体でみる。政府・個人・企業に分けてみると、政府は借金が 960 兆円で資産が 538 兆円、国民全体ではローンなどの借金が 381 兆円で金融資産が 1,549 兆円、企業の借金や資産を計算すると全体では 180 兆円お金が余っている。世界でダントツのカネ余り国といえる」と、お金がないのではなく、お金の使い道が問題であると指摘しました。

 「橋本内閣の時に「日本はこれでは破産だ。なんとかしなければ」と言われたが、 10 年経って借金が倍になったが何もおこらないことが政府にも分った。そこで、財政赤字が大変だ、消費税が必要だと強調するようになった」と述べました。


講演中の山家先生

 「骨太方針 2006 」では以下の項目が掲げられました。雇用保険への政府支出を無くし保険料だけで運営する/生活保護の見直し、母子加算の廃止や持ち家があれば借金をした後でなければ生活保護はださない/介護保険の見直し/医療保険の見直し、カゼなどは保険から外す/国家公務員の人件費の削減など、こうして 11 兆円〜 14 兆円を産み出す。

 消費税増税も考えている。消費税は貧しい人に厳しい、所得のない人ほど負担割合が高くなる不公正税制だ。小売商店では消費税の転嫁ができない、大企業と取り引きする中小企業は消費税をまけさせられる。景気にマイナスの影響が非常に多い。普通の家庭は1ヵ月の予算を決めて生活をしている。消費税があがり、同じように買い物をすれば給料日前にお金がなくなる。従って買い控えがおき、景気は確実に悪くなる。「橋本内閣の消費税増税は2%であったが、大変な不景気になった」。

 さてどうするかだが、景気をよくする事である。今の日本の景気は輸出頼りなので、米国や中国の景気に何かが起きれば日本もおかしくなる。従って、日本国内の景気をよくする事である。「最低賃金の引き上げがある。あげれば、パート・アルバイトも上がり、一般給与も上がる」「大型で無駄な公共事業は削る」「毎年 5 兆円使っている軍事支出、平和外交に徹すれば減らせるし、憲法の趣旨にもあっている」、こういうやり方でかなり節約ができる、と述べました。

(以下、次号)

 

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