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山家悠紀夫さんの講演「私たちの暮らしと財政赤字」(その1)
(第80回 7月24日 )

 第 26 回香川県保険医協会定期総会が、 6 月 17 日に高松市内で開かれました。記念講演として、経済学者の山家悠紀夫氏(やんべ・ゆきお 暮らしと経済研究室主宰)の「私たちの暮らしと財政赤字」が行われました。3回に分けて、その内容を紹介します。

 景気が良くなったと政府は強調します。大企業の収益は改善したともいいます。しかし、本当にそうなのか、という事を財政状況の実態からみます。「小泉内閣の 5 年間で、国際の残高は 169 兆円増加して、 2007 年 3 月には政府の借金残高は 542 兆円になった」と指摘しました。

 その理由は、(1)「構造改革政策が行われ景気が悪くなり税収が減少、借金に頼った事」、(2)「税収が減る中で、 IT 関係の税金をまけ、株式売買の税率を安くするなどの減税を行った事」です。


講演中の山家(やんべ)先生

 そのため、「国内総生産(GDP)は 504 兆円から 503 兆円に5年間で 1 兆円減った。国民所得は 372 兆円から 368 兆円に 4 兆円減り」5年間で、日本国民は貧しくなったと言えます。景気が良くなったのは「米国や中国の景気が良くなったからであり、国内需要は横這い」、「企業収益は 1.4 倍になったが、雇用者の報酬は 5 年間で 11 兆円落ち込む」と、偏った景気の良くなり方である、と指摘しました。

 この 5 年間の国民負担増は、次のようなものでした。

 失業保険の給付額・給付期間を減らした/ 2004 年度、 65 才以上の公的年金控除の廃止、所得税・住民税の老年者控除の廃止/生活保護の 70 才以上の加算を廃止した/ 2005 年度には母子加算を 18 才以下から 15 才以下に縮小/自立支援法により、利用に応じた負担額とした/ 2006 年度には医療保険制度改正により高齢者を中心に負担増/ 2005 年度・ 2006 年度に定率減税の廃止、など。

 「儲かっている企業への減税は継続したが、サラリーマンや弱い人への減税の中止、負担増を求めた」ものです。

 その結果、「サラリーマン家計は1世帯平均で 2000 年と 2005 年を比較し、収入は7%減、税金や保険料は 15.7 %から 15.9 %と増加している」。

 「医療制度改革が何度か行われ、医療費支出は 110.9 %と、窓口負担増と共に1割増加した。収入の少ない方から 40 %の層をみると消費が 96.4 %に減少すると共に医療費支出も 96.6 %に落ち込んでいる」。医療費負担は増加している訳だから「病気でも医者にもかかれない」、受診抑制がおきている、と指摘しました。

(以下、次号)

 

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