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ハイフォン市でのセミナーの報告です(その7)
(第78回 7月17日 )

 医療生協セミナーの内容を紹介してきましたが、今回で終了とします。

 私の報告の後、沢山の質問がでました。重複した内容もありましたが、すべての質問にはお答えできませんでした。なにしろ、国のありようから、医療制度まで異なっていますし、ぶっつけ本番での回答ですから大変でした。長時間のQ&Aと言いたいところですが、通訳を含めて 10 数分でした。以下、回答の要旨です。

 「保険制度についてお答えします。日本では大きく分けて、会社で働いている人の保険と、商売や農業を営んでいる人達の保険があります。どちらも国が責任を持って運営しています。ですから保険料は国に対して支払っていると理解して頂ければと思います。自分たちが払った保険料と、国や自治体が出す保険料、それらを合わせて保険制度を運営しています。医療にかかるお金の7割をいま述べた保険料で賄って、残り3割を自分で払う形で運営されています。高齢者や障害者には負担を軽減する仕組みがあります。この仕組みは、医療生協であってもなくても同じで、全国で統一されています。

 医療生協の「会費」(出資金ですね)は、加入時に一人最低 1000 円程度のお金を出します。これらの「会費」を元手に医療事業を行います。診療所を作る時に、土地代や建物の一部にこのお金を使用します。それだけでは足りないので、もっと「会費」を増やすような運動を行っています。


5人のり!のバイク。
今秋からヘルメット着用が義務化されるそうです

 全国には 116 の医療生協があります。一番大きな医療生協には 20 万人の組合員がいます(医療生協さいたま)。複数の病院と沢山の診療所を持っています。小さな医療生協では組合員が 1000 人程度で診療所が一つというところもあります。その地域でたくさんの人が参加すれば大きい医療生協になるし、すくなければ小さい、という事になります。日本の中には医療機関が多い地域もあれば少ない地域もある。たくさんの医療機関がある地域では、身近にかかれる診療所が欲しい、という要求になります。医療機関が少ない地域なら、沢山の診療所がほしいし、できたら病院もほしいというのがその地域の要求になります。大きい医療生協と小さい医療生協の差は、その地域の状況により異なるので規模の違いは運動が発展しているかどうかとは必ずしも一致しません。その地域の住民が何を望んでいるのかという事により、活動形態は少し異なって来る事になります。

 医療生協は国から援助金をもらっているわけではありません。日常的に国のコントロールを受けている訳ではありません。

 医療生協で働く職員は基本的に組合員になります。医師も看護師も、一技術者であると同時に一組合員であるという事です。ただ、そういう意識になるには教育が必要ですから、定期的に教育を行う必要があります」

 まとめの発言は、以下の通りです。

 「患者の権利章典という事についてお話をしましたが、こういうことが実現できる医療機関を自分たちの手でもってみたい。今回のセミナーが、そういうきっかけになるのではないかと思います。

 8つの健康習慣ということでいいますと、これがすべてできる人は聖人か神様ではないかと思った方がいるかもしれません(笑)。一人で生活習慣を変える事は大変な事かも知れませんが、仲間がいれば、それができるのではないでしょうか。医療生協を作るという事は、自分たちが望む医療や、生活習慣など、それを作る仲間探しだと思います。小さな取り組みでもよいから、まず何か始めてみることが大事ではないでしょうか。

 こういう取り組みを皆さん方の中に紹介して頂いて、ベトナムなりの医療生協づくりのお役にたてればいいと思っています。今日は大変ありがとうございました」
 

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