(第76回 7月10日 )
7 月 3 日、久間防衛相が原爆に関する暴言で引責辞任をしました。
久間氏は、 6 月 30 日に千葉県柏市の麗澤大学で講演を行い「原爆を落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今、しょうがないなと思っている」と、原爆投下を正当化する発言を行いました。
被爆国日本の大臣の無責任な発言は、「被爆者の気持ちを踏みにじる暴言」(秋葉忠利広島市長)、「核兵器の使用は、いかなる理由があろうとも正当化できるものではありません」(田上富久長崎市長)など、被爆地をはじめ多くの国民の怒りを呼びました。
しかし、辞任後の記者会見で、発言を撤回したものの「今度の選挙で私が足を引っ張ることになっては申し訳ない」(カッコ内はいずれも「朝日」 7 月 1 日・ 4 日付より引用)と、真摯に反省をしていないのではないかと思えるような発言をしています。被爆の悲惨さ、核兵器の使用は絶対に許されない人類に対する犯罪行為である事を理解しているのでしょうか?
1999 年四国で初めて開催された第 45 回日本母親大会に、私は医療・福祉の分科会の助言者として参加しました。 7 月 31 日の夜、松山のホテルで「時の記録〜 NHK 特集選 夏服の少女たち ヒロシマ・昭和 20 年 8 月 6 日」という番組を見て、衝撃を受けました。
旧広島県立第一高等女学校 1 年生 220 人は、爆撃を受けた市街の建物取り壊し作業中に被爆、全員が死亡しました。 2 年生は、軍需工場への勤労奉仕で動員され郊外で作業していたために、被害が少なかったといいます。番組のタイトルの「夏服」とは、家庭科で白い夏服を作成するはずの授業が、物資が少ないため色にこだわらず母親の古着をほどいて夏服を作った少女たちの平和な学園生活を象徴したものです。
生徒たちの日記をもとにして、当時と現在の記録映像、遺族の映像にアニメーションを重ねた、出色のドキュメンタリーです。戦時体制に組み込まれ、まともに授業が行われない中でも、懸命に普通の学生生活を送ろうとしていた少女たちの青春を原爆は一瞬にして奪いさりました。無抵抗の人の命と未来を一瞬に奪ってしまう核兵器は、どのような理由があろうとも絶対に認めてはいけません。「しょうがない」発言に強い怒りを覚えると同時に、核兵器廃絶の声をこれまで以上に高めていかなければなりません。
注:この番組を、アニメを中心に編集した DVD が NHK エンタープライズから発売されています( 34 分、税別 \3800 )。
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