合同計算センターの機関紙に「社長の健康シリーズ」を連載しています。 2007年5月号に掲載したものを編集しました。
(第74回 7月3日 )
糖尿病の専門医として高名な東北大学名誉教授の後藤由夫先生が、「肥満研究」の 2006 年第1号の巻頭言に書いた、「21世紀の疫病」という文章を紹介します。
疫病といっても、病気の名前は「肥満」です。国民栄養調査の過去 50 年の推移を検討すると、国民一人あたりの1日摂取総エネルギーは、 1970 年頃の約 2300Kcal をピークに徐々に減少し、現在では 2000Kcal 位になっています。脂肪分は 1950 年頃に 10 数gでしたが、徐々に増加し 1970 年代に 58 g、しかし現在は 54 gで減少傾向です(別の調査では漸増という意見もある)。
しかし、小児のメタボリックシンドロームの基準が検討されるなど、明らかに肥満は増加しています。摂取カロリーが減っているのに肥満が増えるのは、運動不足という事になりますが、国民に「運動をしなさい」というだけで肥満が減少するのか?というのが、後藤先生の提起です。
BMIのこの 50 年の変化を見ると、男性はいずれの年代でも増加しています。女性は、 20 才で極度に減少し(これ自体問題ですが)、 30 才代〜 50 才代は 1970 年代までは増加し、それ以降減少、 60 才代以上はずっと増加。
これは、「女性のスリム願望」のためで、スリムより食べる事を重視するようになると肥満になるという事ではないか、というのが後藤先生の意見です。
「恰好よく、元気に」というスローガンの方が、効果があがるかも知れません。
後藤先生の原文は、以下のリンクを参照して下さい。
巻頭言 21世紀の疫病
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