(第49回 3月27日 )
インフルエンザ治療薬「タミフル」の使用が、社会的問題になっています。日本生活協同組合連合会・医療部会は 3 月 24 日に、医療活動委員長の私と藤谷事務局長の連名で「インフルエンザ治療薬タミフルの投与について」と題する文書を発表し、会員生協に送付しました。要旨は以下の通りです。
日本生協連医療部会では、地域の組合員・患者の安心・安全の医療を守る立場から、会員生協の皆さんに以下の提案を行います。
(1) 会員生協において、インフルエンザに伴う異常行動等の事例が発生した場合には、関係機関に早急に報告を行う。
(2) 「医療生協の患者の権利章典」にもとづいた日常の医療活動の実践に則り、タミフルの作用・副作用などについて、患者の年齢にかかわらず、納得できるまで説明を行う。
(3) 組合員に向けて、タミフルに関する、説明・学習を行い、正確な情報発信を行う。
全国の医療生協は、「医療生協の患者の権利章典」の立場に立ち、引き続き安全かつ適切な薬剤の使用に勤め、組合員・患者に対し、安心・安全の医療の提供に向けた取り組みを強めましょう。
声明の詳細は、HPを参照下さい(http://www.jhca.coop/topics/070326_01_01.html)
ところで、香川医療生協の高松平和病院と生協みき診療所の小児科では、今冬の流行期を前に、「インフルエンザは、学童期以上の患者様にとっては、自然治癒する病気であり、脳炎・脳症の危険性は非常に低いので、タミフルの服用は原則として必要ないと考えます」として、安全性の確認が出来ていない 1 才未満と、ご両親が希望した場合を除き 6 才以上の方には処方しない事としました。
1 才以上 6 才未満の場合、発病から 48 時間以内でインフルエンザ迅速検査が陽性の場合か、臨床症状や周囲の流行状況からインフルエンザと臨床診断される場合で、保護者が希望した場合にはタミフルを処方しています。慢性の病気を持っていたり、てんかんの患者様にはタミフルが必要としています。
インフルエンザ迅速検査の結果がでるのに 15 分程かかりますから、その間に小児科の方針を記載した用紙を読んで頂き、治療法の選択をしていただいています。この方針は医局内で徹底され、時間外に小児科医師以外が診察する場合も同じ対応になっています。
この取り組みは、必要な情報を提供し(知る権利)、自分で治療法の選択をしてもらう(自己決定権)、と「医療生協の患者の権利章典」の実践のよい事例だと思います。
また、タミフル内服後は異常行動の有無を観察するため、お子さまを一人にしないよう、注意して下さい、と今回問題になっている点もすでに指摘しています。
安全・安心の医療を患者さんと一緒に進めて行く上で、重要な実践だと思います。
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