(第48回 3月23日 )
3 月 14 日、第 101 回中医協(中央社会保険医療協議会)総会が開催され、懸案となっていたリハビリテーションの算定日数打ち切りの問題について見直しを行い、即日諮問・答申しました。改定内容は 4 月 1 日から実施される見込みです。「飛来峰」第 20 回( 11/28 )・ 25 回( 12/19 )で触れたとおり、リハビリを継続する事により機能が維持される患者が多い事を無視した、問題の多い制度改定でした。
中医協に提出された資料(注)では、算定日数打ち切りになった患者のうち、「身体機能の改善の可能性がある」が運動器リハで 9.8 %、脳血管疾患等リハで 2.2 %、心大血管リハで 7.3 %、呼吸器リハで 3.0 %いたとされています。
注: http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0312-9b.pdf
また、「状態維持のためのリハの継続が必要」で「介護保険対象外」が運動器リハで 2.1 %、心大血管リハで 1.2 %いた事が明らかになりました。この事は、今回改定に問題があった事を証明しており、 3/13 付「朝日」で免疫学者の多田富雄さん(東大名誉教授)が「リハビリ難民は死んでしまう。まず白紙撤回。その後で計画を練り直すのが順序」と指摘していますが、その通りだと思います。
今回の見直しは、(1)算定日数上限の除外対象疾患に「急性心筋梗塞」「狭心症」「慢性閉塞性肺疾患」を加える(2)除外対象疾患にALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経・筋疾患を加える(3)維持期リハビリテーション料を新設する(4)医療費削減の目的で算定日数上限の期間内の逓減制の導入、です。
厚労省への 48 万人署名や、全国保険医団体連合会の提案に応え、各都道府県の保険医協会がアンケート調査を行い、結果をマスコミに公表するなど、見直しを求める国民的な運動の成果であるといえます。しかし、医療保険で「維持期リハビリ」を設定する事については、「介護保険のサービスが対応するまでの当分の間の措置」とされており、根本的な見直しとはいえません。
そ もそも、医療のリハビリが、医師が必要と認めた患者に行うのに対し、介護保険は「介護の必要性」に基づき重症度が判定され、「ケアプラン」の中で決定されるという、同じ「リハビリ」という言葉であっても、内容も目的も全く異なるものです。
引き続き、必要な調査活動を行い、根本的な改善を求める運動を進めていく必要があります。
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