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レセプトオンライン請求義務化の問題点
(第42回 2月27日 )

 全国保険医団体連合会(保団連)四国ブロックの第 97回会議が、2月24日・25日に高松市内で開催されました。25日の午後は、「レセプトオンライン請求義務化の本質は!?」と題した学習会が行われ、多くの医療関係者が参加しました。講師は保団連理事で情報ネットワーク部員の 中村 厚 大阪保険医協会副理事長です。

 医療機関が医療を行った後保険者に対して請求を行う時に提出するのが「診療報酬明細書」で、通常「レセプト」とよばれます。医療行為の額を算定するのは大変複雑で難しいため、多くの医療機関ではレセプトコンピュータ(レセコン)を使用しています(香川県の場合、 850ある医科診療所のうち650軒(80.7%)が使用)。しかし、診療報酬明細書は紙で請求する場合も多く、審査機関に光ディスク等で提出しても、保険者には紙で提出されているのが現状です。

 これを電子化したデータで、電話回線(ISDN)を通じて送付できるようにするのが、「レセプトオンライン請求」です。 2011年から法的に義務化されるため、小事業所では、新たにコンピュータを買い換えるなど負担が大きいと問題になっています。

 今回の講演では、義務化に伴う問題点を詳しく分かりやすく解説が行われました。レセコンのデータ形式はメーカーによって異なるため、共通の電子データに変換するソフトが必要になります。厚労省はレセコン大手7社と「レセスタ」=既存の医事会計システムやレセコンからレセプト出力情報を取り出して、電子レセプトに変換するソフトウェアを開発しています。厚労省の資料では、大手7社のレセコンソフトは使用可能だが、他の「メーカー・ベンダーが提供しているレセ電システムを否定したり、掲載されているメーカー(機種)への乗り換えを勧めるものではありません」とされています。しかし、別の資料のQ&Aでは、「他機種への乗り換えを」と大手メーカーに有利な仕組みであることが明らかになっています。

 また、 2008年度から開始される「特定健診」のデータも電子化される事が決まっており、これらのデータを突合することにより、健診と疾病の関係が明らかになります。この仕組みを国民の健康を守る目的で使用する事に異論はありませんが、「特定健診」事業は民間開放される事が決まっているため、これらの個人情報が生命保険会社や健康産業に利用されないという保証はなく、問題は大きいと言えます。

 すべての医療機関にオンライン請求を義務化する事には、問題があると言わざるを得ません。義務化に反対の世論作りが必要だと思います。


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