あなたにもあげたい 笑顔 健康
TOPヘ 香川医療生活協同組合

教育基本法改定と「里の秋」
(第26回 12月22日)

 教育基本法改革案が自民党と公明党の賛成多数で成立しました。12月15日付「読売」は、国会最終盤で民主党が与党と 『円満採決』のシナリオを水面下で練り上げていた事を報じています。多額の国費を投入して「やらせ」と「さくら」でタウンミーティングを行い、国会では民主党も一緒になって「シナリオ」通りに法案を通そうとした訳で、教育分野での憲法とも称される教育基本法の精神を踏みにじった3党に対して強い憤りを禁じえません。

 今回の 改定案は、教育基本法にあらたに「国を愛する態度」など20の「徳目」を盛り込み、その「達成」を教育の目標・目的にしています。また、第10条(教育行政)の 「国民全体に対し直接に責任を負って」を削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行なわれるべきもの」に置き換えています。新設された第17条(教育振興基本計画)では、教育内容を数値目標をふくめて詳細に決め実施・評価することができるとしています。

 要するに国が法律で命じるとおりの教育をやれ、政府が決めたとおりの計画を実行せよというのです。この事は、時の政府による教育内容への無制限な介入・支配に道を開くものとなっています。

 先日「里の秋」という歌の成立の由来を調べる機会がありました。「静かな静かな里の秋 お背戸(せど)に木の実の落ちる夜は」という歌い出しの歌です。この歌の3番は「さよならさよなら椰子の島/お舟にゆられて帰られる/ ああ父さんよ御無事でと/今夜も母さんと祈ります」というもの で、よく読むと1番・2番とは異質な内容になっています。

 元の歌詞は戦前に作られたもので、3番は「 きれいなきれいな椰子の島/しっかり護って下さいと/ああ父さんのご武運を/今夜も一人で祈ります」というものでした。1945年12月に、NHKが外地から帰って来る復員兵を励ます番組を放送するために、作曲者である海沼実さんに楽曲を依頼しました。海沼さんは、作詞者である斎藤信夫さんから戦前に入手していた詞を使用するつもりでいましたが、3番以降があまりに露骨な軍国主義的な内容であったあったために、歌詞の変更を依頼し、上記の内容になったというものです。

 戦前は、あらゆる文章の枕詞として「兵隊さんのために」「お国のために」という言葉が使われました。教育基本法は改悪されましたが、現実の教育の中に二度と戦争賛美が持ち込まれないように監視を続けていく必要があります。

 

注:「里の秋」成立のいきさつについては、以下のHPを参考にしました

http://www.aba.ne.jp/~takaichi/douyou/satonoaki.html

http://www.duarbo.jp/versoj/v-douyou/satonoaki.htm


関連項目へ “飛来峰”バックナンバー

TOPへ 香川医療生活協同組合