(第22回 12月5日)
北朝鮮の地下核実験を契機に、自民党幹部の中から、日本の「核保有について論議」が必要といっせいに声が上がっています。 中川昭一政調会長は 11月8日「「私なりに高度な政治的、安全保障的観点から発言しない」と述べ、当面は自粛する考えを示した」と報道されています。(「毎日」11/8)
一方、 23 日の岐阜市で行った講演で、核保有議論に関し「最近は、(核兵器を)持たず、作らず、持ち込ませずに、言わせずで非核四原則と言うようだ」と発言(「毎日」 11/23)、議論を行うことに問題はないとの認識を示しています。
しかし、核兵器の不拡散に関する条約(NPT)を批准している日本が仮に核保有するなら、NPTから離脱しなければならず、核保有の議論の前提として離脱問題から話を始めなければいけません。ですから「核保有の論議だけ」を行うという事は成り立たない議論です。NPT離脱という事になれば、北朝鮮と同じ立場に立つことになり、国際的にも批判は免れません。また、先の世界大戦で日本の侵略を受けたアジア諸国にも大きな不安を呼び起こし、東アジア全体の平和的秩序を揺るがせる事になります。「言論の自由」で済む問題ではないと思います。
東京外国語大学のウルドゥー語劇団が、今年の9月に、中沢啓二さんの漫画「はだしのゲン」をウルドゥー語で舞台化した「ヒロシマの物語(はだしのげん)」のパキスタン公演を行いました。この取り組みは 2002 年のパキスタン公演、 2005 年のインド公演に続くもので、今回はパキスタン文化省の協力で行われました。パキスタンは核保有国ですが、決して核保有の正当性だけを主張しているのではない事が伺えます。パキスタン人ジャーナリストのA・M・フサインさんは「パキスタンの若い世代に見てほしい。この劇は核放棄を望まない人の心も変えることが出来る」と述べたそうです(東外大HPより)。
今、必要なことは核保有論議ではなく、核廃絶を目指す様々な取り組みを進める事だと思います。
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