日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2006 年 11 月号のコラム「社会派 しんさつ室」に掲載された文章を転載します。
(第19回 11月28日)
4月の診療報酬改定により、リハビリテーション(リハビリ)の項目が大きく変わりました。これまではリハビリの内容により、理学療法・作業療法・言語療法と分類されて来ましたが、4月からは病気の種類により、脳血管、心大血管、運動器、呼吸器の4分類になりました。そして、呼吸器は 90 日間、運動器と心大血管は 120 日、脳血管は 180 日までと日数制限が加えられ、さらに、機能維持のためのリハビリは医療保険では認められない事になりました。
その最後の日が9月 27 日でした。9月末から 10 月にかけて、地方紙を中心に「リハビリ医療 患者いじめの日数制限」(南日本新聞)「再チャレンジの道閉ざす リハビリ打ち切り」(東奥日報)など、この制度を批判する社説や記事が目立つようになりました。
脳血管障害でリハビリを行う高齢者は、複数の病気を持っていることが多く、加齢による体力低下などもあり、継続的に治療を行う事で何とか機能を維持しているのが実態です。多くのリハビリ関係者が、杓子定規な対応では現場に混乱をもたらす、と指摘しています。
東京新聞の「筆洗」子は、7月に急逝した鶴見和子さんの「政人(まつりごとびと)いざ事問わん 老人(おいびと)われ生きぬく道のありやなしやと」という歌を引用しながら、「社会保障負担増が高齢者を追い詰める」「この“姥捨”の現実を見過ごしていいのか」と厳しく指摘しています。
リハビリテーションとは、単に失われた機能を回復するだけではありません。全人的復権とも言われる、基本的人権の保障でもあります。単に制度のあり方だけではなく、あるべき医療の姿を問い掛ける課題として考える必要があるのではないでしょうか。
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