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香川初の原爆症認定訴訟について
(第9回 10月20日)

 10 月 11 日、香川県で初めての「原爆症認定裁判」が始まりました。

 長崎英子さん(仮名)は、長崎市に原子爆弾が投下された翌日に入市、被爆者として認定されています。 2002 年に肝臓ガンを発症し、原爆症の認定を求めましたが却下、異議申請も 2006 年2月に却下されたために今回の提訴となったものです。

 被爆者として認定されるのは、(1) 原子爆弾が投下された時に広島・長崎市内にいた人、(2) 投下後2週間以内に爆心地からほぼ2 km 以内の一定の地域に入った人、(3) 死体処理や救護に従事した人、(4) 被爆当時上記に該当する人の胎児だった人で、被爆者健康手帳が交付されます。

 手帳が交付され、肝硬変、ガン、脳卒中、白内障など、 11 種類の疾病に該当すると、明らかに被爆との関連がない場合を除き、健康管理手当が支給されます。

 しかし、医療特別手当は「原子爆弾の傷害作用により現に治療を要するけがや病気の状態にあるという 厚生労働大臣の認定 をうけた被爆者であって、現在、認定をうけたけがや病気の状態が続いている」人に支給されます。これが、今回問題になっている、原爆症の認定です。

 つまり、原子爆弾による被爆が原因であること(起因性)、現在治療が必要であること(要医療性)が認められたら、認定される仕組みです。

 問題は、「被爆が原因である」事を何で判定するのか、という事です。 1987 年に日米の研究者が、原爆被爆者の被曝線量を推定する方式、DS86( Dosimetry System 1986 )を発表しました。国際的にも認められ、日本でも採用されています。この方式は、日本の被爆者の調査などを元にして設定されていますが、原子爆弾が爆発した時に放出された放射能による影響を元に設定されました。しかし、原子爆弾が爆発した後の影響である残留放射能、爆心地の土中の放射能や、「黒い雨」により汚染された水や食べ物の影響は無視されています。

 原爆症の認定に当って、厚生労働省はDS86のみを基準としているため、翌日入市して残留放射能により様々な病気になった人たちは「被曝していない」事になっている事が、今回の訴訟の医学的な論点です。

 これまでの多くの裁判所の判断では、機械的に基準を当てはめるのは妥当ではないとしています。今回の裁判でも是非勝訴に向かって協力をしたいと思います。

被爆者の制度については、長崎市のHPを参考にしてください。
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/gentai/index.html


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