(第6回 10月10日)
9月23日(土)に、山口市で「患者の権利を考える」と題した講演を行いました。
ホームページに連載した「患者の権利 アメリカ調査レポート」を読んだ、山口県保険医協会の野田地域医療部長(医療生協健文会理事長)から、地域医療部が年1回行っている「臨床倫理セミナー」で、HPで紹介した内容を中心に講演してほしいという依頼があり実現したものです。医師や看護師など20名近い参加で行われました。
以下の内容で、80分間余り講演しました。
1. 医療生協の「患者の権利章典」の歴史と川崎協同病院事件
2. 高松平和病院・倫理委員会の活動から学んだこと
3. BIOETHICS:生命倫理学について
4. 米国調査の報告:患者の権利を守るシステムについて
patient advocate の役割と、今後の課題
患者アドボケイトの活動を日本のシステムの中でどう位置付けるか、医師や看護師が日常的に倫理的な問題について気軽に相談できる仕組みをどう作るか、といった内容で質疑応答がありました。
その後、3グループに別れ、臨床倫理カンファレンスを行いました。
4分割法による臨床倫理カンファレンスの様子 日頃元気だった高齢者が急に呼吸状態が悪化し来院、気管挿管を行い治療しいったん気管チューブを外す事ができた。途中の検査で気管支に悪性疾患が見つかり、徐々に悪化して来た。再度挿管をしても完治は望めないが、挿管しなければ大変苦しい思いをする事が想定される。意思疎通は困難、という悩ましい症例です。
4分割法(注1)を用いて各グループで討議を行い、患者の思いを受け止める上でチーム医療に問題はなかったのか、など様々な意見交換が行われました。
最後に意見を求められたので、「1.一つ一つの事例の検討から、共通する問題を明らかにする事が重要、2.米国のように、自分が意思を明らかにできない時の代理人(注)を予め決めておく仕組みが必要、3.死生観というのは、文化の問題でありお互いに尊重する必要がある」と、感想を述べました。
注1:症例を検討する時に、医学的適応、患者の意向、QOL、周囲の状況の4つの角度から検討する方法。詳細は、以下のアドレスを参照の事。http://square.umin.ac.jp/masashi/4box.html
注2: advance directive (事前指示)は、意識がなくなった時の治療内容に対する要望と、自分の代わりに意志決定をする人(代理人)を指定しておく。 |