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Monthly Archives: 7月 2020

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。
2020年5月17日付(第1848号)に掲載した、「診療報酬の改定」を考える(その2)の前半です。

4月から医療保険の定価にあたる、診療報酬改定が行われました。その特徴と今後の厚労省の狙いについて、しばらく触れます。

厚生労働省の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」の初会合が2018年10月22日に開催されました。

その中で、2019年「10月の消費税率の引上げによって、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が完了」したとし、「今後、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据えた検討を進めることが必要」と指摘しました。

2040年を見通すと、担い手である現役世代が減少する一方、高齢者は従来に比し、「若返り」が見られるとしています。

文部科学省の「平成28年度体力・運動能力調査」によれば、65歳から79歳の高齢者における握力、上体起こし、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行などの体力は年々向上傾向が認められています。

男性でも女性でも、2016年の「70歳から74歳」の新体力テストの点数は、1998年の「65歳から69歳」の点数を上回っています。同じく2016年の「75歳から79歳」の点数は男女とも1998年の「70歳から74歳」を上回っています。体力面でみると約20年間で5歳程度若返っていることになります。

また、内閣府のアンケート調査で、「高齢者とは何歳以上か」という質問に対し、1998年度は「75歳以上」または「80歳以上」と答えた人を合わせて24.4%だったのに対して、2012年度には合わせて36.5%と増加しています。

協会けんぽや健保組合などの医療費を取り扱う支払基金(社会保険診療報酬支払基金)と、国民健康保険や後期高齢者医療保険の医療費を取り扱う国保中央会(国民健康保険中央会)が4月診療分の確定数値を発表しました。

請求点数でいうと、入院では、支払基金が7.3%減、国保は7.1%減、後期高齢者が5.7%減でした。医科外来では、それぞれ16.9減、13.7%減、10.1%減でした。歯科では、それぞれ13.3減、19.3%減、17.2%減でした。

金額に換算すると(1点10円)、入院は908億円減、医科外来は1,893億円減、歯科は414億円減、総計3,215億円の減になります。単純計算で年に換算すると4兆円近い減になります。都道府県別でみると、東京都や神奈川県など首都圏の減少が著明です。

「朝日」によれば、いわゆるアベノマスク(布マスク)を、「今後さらに約8千万枚を配る予定であることが厚生労働省などへの取材でわかった」としています。マスクが必要であることは間違いありませんが、緊急の政策としては、医療機関への直接的な支援が必要なのではないでしょうか。

香川県保険医協会報2020年4月号の「主張」欄に、新型コロナ感染症流行による「医療崩壊」を防ぐために、と題する文章を掲載しました。少し古い話題ですが、内容は今も通用するものなので、掲載します。

2020年4月7日に7都府県に発令された「緊急事態宣言」は、対象が全国に拡げられた後、5月15日に香川県など39県が解除されました。これからの医療体制に求められる問題点を考えてみます。

新型コロナ感染症の新規患者は減少しています。しかし、これまでのPCR検査数が余りに少ないため、現状が十分把握できていません。抗体検査をはじめ様々な検査法が開発されていますから、感染の拡がりを明確にする必要があります。

今後起きるかもしれない爆発的流行に備え、PCR検査などが、医師の判断により速やかに行えるよう体制の整備が必要です。検体採取に危険を伴う場合の検査場所の確保や必要物品の備蓄なども重要です。地域により異なりますが、発熱外来などの整備も検討課題です。

陽性患者の家族内感染を防ぐため、ホテルや施設などで一定期間隔離が可能な体制も重要です。

入院患者の振り分けも大事で、各病院の専門性、検査器械、個室数など難しい問題はありますが、今ある「調整会議」を活用し、重症度に応じた入院体制の準備が必要です。

市中にはマスク等が流通し始めていますが、臨床現場ではマスク、フェイスガード、エプロン、消毒用物品などが不足しています。多くの医療機関で、使い捨てのマスクを何日も使用する、洗って再利用するなどの例もあります。感染者対応時に必須のN95マスクも繰り返し使用するなど、やむを得ず本来の使用法とは異なる対応をしている実態もあります。

必要な物品が医療機関に届けられるように、政府・自治体に求めるものです。

多くの医療機関で3月以降、特に4月は外来患者数の激減、検診の中止・延期が多い、感染を恐れる利用者が続出しデイケアやデイサービスの利用者減など、経営的に苦境に立たされているのが現状で、保障が必要です。検査や治療に携わる医師・看護師など職員の「危険手当」など処遇の面も対応が必要です。

今後とも協会として、現状を把握し必要な提言を行う予定です。

香川県保険医協会は、6月下旬に医療機関の経営に関するアンケート調査を行い、メディアに情報提供を行い、6月30日に香川県知事に要望書を提出しました。

「すべての医療機関の減収補填に関する要望書」と題する文書の内容(大要)を紹介します。

この間、マスク不足や深刻な患者減・収入減など、会員等にアンケート調査を行い、貴職に要望や申し入れを行い、メディアにもデータを公表したところです。

5月度の医療機関の実態について調査を行いました。

5月の外来患者数は昨年に比し減少、昨年は大型連休の影響で診療日数が少なく、それとの比較でもさらに減少している点が特徴です。約9割の病院で15~30%減、医科診療所でも7割以上が15~30%減、歯科診療所では8割以上が15~30%減で、新型コロナ感染症の医療機関への影響が大きく現れています。

収入面では病院は100%が減収、医科では9割以上、歯科では7割以上、合計して8割以上の医療機関で減収となり、3割近い減収です。この状態が続き、適切な支援がなければ、地域の第一線医療が壊滅的な状態になることも考えられ、国や県などの支援が必須であると考えます。

この間、感染患者を受け入れている病院への支援が強化された一方で、感染患者を受け入れていない病院・一般診療所への支援(減収補填)は見送られています。第一線医療を守り、新型コロナ感染症対応する医療機関の負担を軽減するうえでも、すべての医療機関への減収補填が求められています。地域医療を守り、医療崩壊を防ぐために、以下の施策の実現を強く要望いたします。

[要望項目]

一、医療機関の保険診療減収分について、公費による補填を行ってください。

一、予想される感染流行に対する、マスク等の物品の確保を行ってください。