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Monthly Archives: 4月 2019

本欄第1029回(4月23日付)の続きです。「全国保険医新聞」の4月15日号の記事から引用します。

高すぎる薬価について、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長の発言です。天野さんは、悪性リンパ腫に罹患、抗体医薬品の一つである「リツキシマブ」などの新しい治療薬で「命を救われた」一人です。

保険適用されれば高額療養費制度で自己負担額には上限が設定されます。しかし、あまりに薬価が高い場合、保険給付の制限につながることも懸念されます。

「なぜ薬はこれほど高くなるのか、素朴に疑問です。製薬企業が適正な利益を得ることは理解できますが、あまりに高い薬価が付く理由について十分な説明がなされていないのが現状ではないかと思います」と語っています。

薬価を決めるときは、似たような薬、「類似薬」をもとに算定します。類似薬がないときには、新規医薬品として、製造経費・研究費・営業利益など必要経費を積み上げる「原価計算方式」を参考にして決定されます。

問題は、これらの数値が「企業秘密」を盾にして非公開であり、議事録の作成もありません。2018年4月からは「市場拡大再算定」、わかりやすく言うと「バカ売れしたら安くする」というルールができましたが、薬価を決定するプロセスが明確になった訳ではありません。

薬価算定を透明にする仕組みづくりが求められています。

昨年の8月24日の本欄第988回で「高すぎる薬価を考える(1回5千万円の薬剤について)」と題して、米国で1回当たりの治療費が5千万円を超える薬剤がでてきた、この薬剤が「そのまま日本でも適用されるなら、日本の保険制度は確実に破たん」「米国の薬価を元に日本の薬価が決められるようでは、日本の医療保険制度が崩壊する危険が大きい」と指摘しました。

3月27日に開催された第411回中央社会保険医療協議会(以下、中医協)では、「再生医療等製品の医療保険上の取り扱いについて」の項で、上記の、難治性の白血病などに効果が認められるとされる「キムリア」と、難治性の慢性動脈閉塞症に効果が認められるとされる「コラテジェン」が医薬品として承認されました。

「医薬品として承認」というのはややこしい言い方ですが、14年11月5日に開催された第285回中医協で、 再生医療等製品の保険適用に関する当面の間の対応については、「保険適用の希望のあった個別の製品の特性を踏まえ、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、薬事承認の結果を踏まえて判断」することになっているためです。

後者の「コラテジェン」の薬価についてはわかりませんが、前者の「キムリア」については問題視されています。

米国の薬価を参考にするなら、5千万円が参考になりますが、研究機関での製造費用は100万円以下(名古屋大学名誉教授・小島勢二医師)で製造できるとされており、治験や副作用の確認などに費用が掛かるとしても少し差が大きすぎるのではないかと思います。

薬価を決めるプロセスについて、公開し明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。

全国保険医団体連合会が発行する全国保険医新聞の4月15日号の記事を参考にしました。

4月13日(土)の午後、善通寺診療所の年度総括会議を行いました。前半はSDHの学習会と位置付けて、高松平和病院の内科・家庭医療科の佐藤龍平先生に講演をお願いしました。

SDHは、Social Determinants of Healthの略で、「健康の社会的決定要因」訳されます。

健康は、遺伝子や生活習慣など、「生物学的要因」だけで決まるわけではありません。所得や家族、友人・知人とのつながりなどの「個人の社会・経済要因」と、国の政策や職場・コミュニティーでの人のつながりを含む「環境としての社会要因」があります。これらをまとめて「健康の社会的決定要因」と呼びます

野良猫と飼い猫は寿命が異なる。それは何故か、と身近な話から分かりやすく解説してもらいました。

SDHの視点を大事にして日常診療を行っていく必要があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年3月17日付(第1808号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その11)の後半です。

問題は、入院7日以内に「家族と面談」というところで、同居家族がいればともかく、一人暮らしでこどもは遠方というのはよくあります。こどもが仕事をしていればすぐには来られません。時間外ならいけるといわれると、今度は職員の側が時間外労働になり長時間労働になるという問題もあります。家族にしても、すぐに来てほしいと言われても仕事の都合がつかない、仕事をしていなくても子供の行事などもあるしすぐにはいけない、すでに肉親の介護を行っているなどという事もあります。

2017年6月21日に開催された「第3回入院医療等の調査・評価分科会」でも、「入退院支援を困難にしている理由・課題等をみると、相談員の人員体制の不足、支援のための時間確保が困難、患者・家族等との面会日の日程調整が困難(特に日勤帯だけでは困難)との指摘がある」とまとめられています。

もう一つが「20カ所以上の連携する医療機関の職員と、年3回以上の定期的な面談を行う」ということです。すべての医療機関が一堂に会するのが理想的ですが、「各機関の退院支援職員同士が協議を出来る機関数で行う」「一堂に会することで、対面しての業務上の意思疎通ができないものは要件を満たすことにならない」などの縛りがあり、地域連携懇談会のような形で20以上の医療機関に参加してもらっても、現実的には個別に懇談する時間が取れないので、ハードルは高い、といわざるを得ません。

また、「地域連携診療計画管理料」「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)」が廃止され、「地域連携診療計画加算」が新設されました。在宅療養支援診療所等に紹介する場合は、「退院時共同指導」が算定できますが、それ以外の医療機関に紹介する場合の点数で、入院時から退院に向けてスムーズに進むような仕組みであると言えます。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年3月17日付(第1808号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その11)の前半です。

今回は16改定について触れます。

16改定では、「経済財政運営と改革の基本方針2015 ~経済再生なくして財政健全化なし~」(骨太方針)に基づき、社会保障1700億円削減を実現するために全体としてマイナス改定となりました。

改定の中心は、入院の再編と機能分化・強化と連携です。

急性期病床では、最も単価の高い7対1看護体制の病床を減らすために、算定要件として、より重症度の高さを求める、該当患者数の割合を引き上げる、在宅復帰率を引き上げるなど、中小病院では算定が困難な条件を設定しました。

14改定で新設された「地域包括ケア病棟入院料」には、手術料が出来高で算定できるように変更され、中小病院の役割がより明確になりました。

療養病棟では医療の必要性がより高い患者の入院が必要となるなどの変更がなされました。急性期病院からの転院を促進する目的がある一方、軽症患者が入院できにくくなるという側面があります。

「病院から在宅へ」という動きを加速するものとして、「退院支援加算」が新設されました。従来の「退院調整加算」が廃止され、要件を厳しくした「退院支援加算1」を新設、従来の「退院調整支援加算」は「退院支援加算2」(以下、「2」)になりました。「退院支援加算3」はNICU等に入院中の小児等が対象となります。

新設された「退院支援加算1」は、入院後3日以内(「2」は7日以内)に退院困難な要因を有する患者を抽出し、7日以内(「2」はできるだけ早期)に患者・家族と面談し、7日以内にカンファレンスを実施(「2」は実施すればよい)などと要件が厳しくなり、特にハードルが高いのが、20カ所以上の連携する医療機関の職員と、年3回以上の定期的な面談を行う、というものです。介護保険との関連では、介護支援専門員との連携実績が必要です。

新入職員のオリエンテーションの季節です。4月2日に、香川医療生協研修室で、23人の新入職員対象に「医療福祉生協のいのちの章典」についての講義を行いました。

「医療生協の患者の権利章典」「医療生協の介護」の実践をもとに、「医療福祉生協のいのちの章典」に発展してきた歴史に触れながら、実践の大事さを伝えるのは新人に対してはむつかしいのですが、世界の医療生協の活動を伝えながら(写真を多用して飽きないように)話をすすめています。

事務局から報告のあった感想の一部を紹介します。「医療生協の特徴を理解することができました」「患者を中心に据えた医療のあり方を考えさせられました」「謙虚な態度で、相手の話に耳を傾けることという、最後の言葉が心に残りました」などでした。きちんとうけ止めてもらっているようで安心しまた。

講演中の風景です。

講演中の風景です。

3月30日に善通寺診療所でアスベスト相談会を開催しました。西讃地域で毎年1回行っているもので、事前に地元紙に折り込み広告を入れて告知するものです。今回はこれまでと異なった地域にも広告したため、これまで相談のなかった地域の方が来院されました。

こういった相談会は粘り強く毎年行っていくことが大事で、この間、自然災害などで古い家屋の解体作業が全国で行われていますから、これからも必要な取り組みだと思います。

相談会のビラの横の写真は、マッターホルンの写真です。
山登りと写真の好きな地域の組合員さんから
お借りしたものです。