毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 9月 2018

9月11日 ~ 13日の3日間、東京都内で「2018年度 医療福祉生協連トップセミナー」が開催され、参加しました。

開会にあたり、会長理事として挨拶を述べましたので、大要を紹介します。はじめに7月の水害や台風21号、北海道胆振東部地震などの災害の犠牲者へのお悔やみと、被災者へのお見舞いを述べました。

今年度のトップセミナーは、今年実施された診療報酬・介護報酬の同時改定をはじめとする2025年目標、つまり団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて医療・介護提供体制を整備する動きが本格化する中での開催となりました。

地域医療構想の具体化や、「我がこ事・丸ごと」地域共生社会の名のもと地域包括ケアをすすめ、さまざまな地域課題を包括的に解決するための生協の役割りが鮮明になっています。「組合員参加が事業の質を高める」は総会方針学習会で深めたテーマです。事業基盤の強化と仲間ふやしにつなげる取り組みが求められています。

また、憲法改正を準備する現政権ですが、国会の形骸化が進む中で改めて憲法改正を主軸とする自民党総裁選が実施されます。「健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。」を理念にもつ医療福祉生協は、日本国憲法の恒久平和主義と立憲主義を守り活かす活動を先頭に立って進めて行きましょう。

さて、本セミナーでは、3つの目的があります。ひとつは「2025年あるいは2035年に向かう社会の動向を学び、医療福祉生協の将来展望を描く機会とする。」こと。 

2つめは、「3つの戦略(事業、地域、組織)づくりについて考え、自生協の未来構想を描く上でのヒントを得る。」こと。

3つめは、「すぐれた実践例や先進事例を学び、下期から次年度に向けてとりくむべき戦略課題を明らかにする。」ことです。それぞれの目的にふさわしい多彩な講師の皆さまにお話をいただきます。ぜひ、実りのある議論を深めていただければと思います。

会場の風景です

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年8月19日付(第1788号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その4)、の後半部分です。

16年10月の医療施設調査によれば、(地域医療支援病院は)全国で543病院が指定を受けていますが、344ある二次医療圏のうち、111(32%)が空白となっています。

20年経っても3分の2しかないという言い方もありますが、人口密集地ではそれなりに役割を果たしているともいえます。

さて、00年の診療報酬改定で、200床以上で紹介率30%以上の病院の入院患者に対して「紹介外来患者加算」が設定されたため、多くの病院で患者紹介をしやすくし、退院後の逆紹介をスムーズに行うために、病院に「地域連携室」が設置されるようになりました。

00年の報酬改定では、患者紹介に関わる項目として、「急性期入院加算」、「急性期特定入院加算」が設けられました。この二つの加算は、「急性期医療の実施体制や地域との連携体制の指標」として紹介率30%以上と、平均在院日数が17日以内、診療録管理体制などを要件としたものでした。

患者紹介について、地域での医療連携を進める事より、加算を取得し経営面でのメリットを求める動機が、地域連携室活動の後押しになっていたのは間違いありません。多くの病院がさまざまな会合を開き地域の診療所に声をかけ、「連携」がキーワードになった時代でした。

ところが、06年の診療報酬改定は、3年連続のマイナス改定で、過去最大の下げ幅のマイナス3.16%でしたが、それだけでは済まない、「紹介率関連の加算廃止」が行われました。

いったい何のための地域連携だったのか、という気もしますが、ある意味では地域連携をするのは当たり前、医療機関はそれぞれ地域の中での役割を明確にしなさい、というメッセージだったのだと思います。今では、どこの医療機関も「地域の中でのポジショニング」を模索しています。

2006年は、医療体制をドラスティックに変えていく、ターニングポイントの年だったと言えます。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年8月19日付(第1788号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その4)、の前半部分です。

今回は、退院促進の流れを作るための、大病院と中小病院や診療所の連携をどのように作るか、という点での仕組みづくりについて触れます。

入院日数を短くするためには、そもそも入院時点でいかに早く退院へ持っていくかという計画がなければスムーズに事は運びません。さらに、その前提として退院後の行先を明確にしておく必要があります。

自院に通院可能な方なら問題はありませんが、遠方に住んでいるので通院困難である、自力では通院できない、そもそも要介護状態で往診が必要、施設に入るなど様々なパターンがあります。

そこでまず、大病院と地域の中小病院や診療所との連携をどう作るかが問題となります。

1992年の第2次医療法改正で、大学病院や国立がんセンター・循環器病センターを対象とした、「特定機能病院」が制度化されました。条件として、500床以上の病床を持つ(2004年の改正で400床以上に変更)、高度の医療サービスの提供、高度の医療技術の開発能力などの機能を有する、他の病院や診療所からの紹介患者の受け入れを特徴とする、と定められました。

この時から、「紹介率」の考えが初めて導入されました。その後、特定機能病院の主な承認要件として、紹介率30%以上を維持することが求められるようになります。

第3次医療法改正(1997年)により、地域医療支援病院が新たに設定されました。地域の中小病院や診療所などを後方支援する目的で、イメージとしては公立の大病院(例えば県立中央病院など)の機能分化を目的に創設された制度です。二次医療圏当たり一つ以上存在することが望ましいとされています。

・病院の規模は原則として病床数が200床以上の病院であること

・他の医療機関からの紹介患者数の比率が80%以上(承認初年度は60%以上)であること、または紹介率が65%以上で逆紹介率が40%以上であること、または紹介率が50%以上で逆紹介率70%以上であること

・他の医療機関に対して高額な医療機器や病床を提供し共同利用すること

・地域の医療従事者の向上のため生涯教育等の研修を実施していること

・救急医療を提供する能力を有すること、などが要件とされました(現在は少し要件が変わっていますが、ここでは省略します)。

(以下、次号)

香川県保険医協会報2018年7月号の「主張」欄に、骨太方針2018に関する内容を掲載しました。転載します。

政府は6月15日の閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる「骨太方針2018」を決定しました。

その内容は、多岐にわたりますが、今回は社会保障分野について触れます。

骨太方針の基本は、「2019年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げを実現する」ということです。そして、従来消費税増税の使途として2%増税分(5兆円強の税収増)の5分の1で社会保障を充実するとしていましたが、これが変更され、教育・子育て・介護人材の確保等に使うとしています。

具体的には、「所得のみならず資産の保有状況を適切に評価し……負担を求める」「後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する」「介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する」「医療・介護における『現役並み所得』の判断基準を……見直す」としています。

4月25日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会の議論を中心にみると、以下のような具体化が検討されています。

まず、高齢者は預貯金などの資産を持っている場合もあり、マイナンバーを利用して資産を把握し、負担増を図ることです。

医療費負担では、75歳以上では原則1割の負担を見直し2割負担とする、かかりつけ医以外の外来を受診した場合の追加負担である「受診時定額負担」制度を導入する、薬剤費の自己負担を引き上げるなどです。

介護の分野では、ケアマネジャーの作成するケアプランを有料化する、老人保健施設や介護療養病床の多床室の室料を無料から有料化にする、要介護1・2を地域支援事業に移行し介護保険サービスから外す、などです。

後期高齢者の場合、夫に給与所得があり夫婦の年金収入を加えると、現役世帯の平均的な収入を超える場合があるため、「現役並み収入」の判定方法を変更し、医療や介護の自己負担を3割に引き上げることなども検討されています。

いずれにしても、社会保障分野での大改悪といえるもので、反対運動を広げていく必要があります。