第741回:安倍首相の「70年談話」を考える

安倍首相の「戦後70年談話」が8月14日に公表されました。この文章を読んでみて、何か違うという違和感が残ります。

談話を出す前に取りざたされた「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」といういわゆるキーワードは入っているものの、「誰が」そう考えたのか、日本にその責任があるのかを示す、「主語」がないからだと思います。

例えば「侵略」とういう言葉は、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」というフレーズの中で使われ、あくまで一般的な問題として取り扱われ、日本が侵略を行ったという「歴史認識」を明らかにしたものではありません。

一般論、引用の中に逃げ込んだ談話、というのが率直な感想です。

「談話」を出すのであれば、首相としての歴史認識を明確にするのが本来の談話の役割だったのではないでしょうか。

8月17日の「朝日」は、外務省のホームページから、「政府の歴史認識やアジア諸国への『反省とおわび』に関する記事を削除していた」と報じました。

やはり、「痛切な反省」は安倍政権以前の歴代政権のものにすぎない、と自ら認めたものではないでしょうか。