第715回:香川県保険医協会主催の「介護報酬検討会」が開催されました(その3)

 3月29日(日)に開催された「介護報酬検討会」の報告の続きです。今回の介護報酬改定の特徴と問題点で、第714回(4月10日)の続きです。

 7.口腔ケア・経口維持の評価の引き上げを行うべきです。

 嚥下(のみ込み)能力は、施設に入所中の方にはとりわけ重要な問題です。施設における経口維持加算の算定要件は緩和されましたが、医師・歯科医師・管理栄養士ほかの職種による計画作成に加え、共同で食事観察や会議を行った場合に算定できるとされ、1日28単位の算定から1月につき400単位の算定に引き下げられました。協力歯科医療機関等を定めた場合には、1月に100単位の算定とされ、十分な評価とは言えません。

 口腔ケアの充実は重要な課題ですから、報酬を引き上げるべきです。

 8.介護予防訪問介護・通所介護の新総合事業移管をやめ、全国一律の介護保険給付に戻すべきです。

 要支援者のデイサービスやホームヘルプサービスは、介護保険から外され市町村等が行う新総合事業に移管されます。9割以上の自治体が準備できていない現状から見て早急な実施強行は行うべきではありません。また、内容も規制緩和のように捉えられている向きもありますが、無資格者を中心とするボランティア活動にゆだねるもので、内容が充実する保証はありません。

 9.2018年4月以降も書面による請求を認めるべきです。

 2018年以降は電子請求が義務付けられ、書面による請求が認めれる事業者は限られています。今後新規に居宅療養指導(医師・歯科医師等が介護保険利用者の診療を行い、その情報を介護事業者に提供する場合に算定)を算定する場合、数件しか対象がいない場合などは書面による請求も認められるべきです。

 10.告示・通知の発出から実施まで、十分な周知期間を設けるべきです。

 今回の介護報酬の改定は、3月19日と23日に告示が、3月27日に通知がだされました。あまりに遅いと言わざるをいません。現時点(4月13日)でも、通知・告知で理解不能な内容はたくさんあります。今後Q&Aが出るでしょうが、あまりに無責任なやり方だと思います。強く抗議をしたいと思います。

 11.国庫負担を拡大し、介護保障の充実を行うべきです。

 社会保障の充実のために消費税を5%から8%に引き上げたはずです。新たに8兆円の財源が増えたはずなのに、2015年度予算を見ると社会保障は3900億円の減となっています。国庫負担を拡大し、介護報酬の引き上げを行うべきです。