第952回:18診療報酬改定の特徴について

香川県保険医協会報2018年3月号の「主張」欄に、18改定に関する内容を掲載しました。転載します。

2月7日に開催された中医協で診療報酬改定案がまとめられ、厚労相に答申されました。

今回の改定は、「本体」部分を0.55%引き上げる一方、「薬価・材料」を1.45%(薬価1.36%、材料価格0.09%)引き下げました。また、薬価制度の抜本改革で0.29%、大型門前薬局に対する評価の適正化を「別枠」で行い、全体として1.25%のマイナス改定となります。

今回の改定の中心は、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」であり、医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進、生活習慣病の重症化予防の取り組みなどを重要な課題として掲げています。

個別の課題では、複数医療機関からの訪問診療料の算定を可能にする、ターミナルケアの評価の充実など、一定の評価はできます。

外来では、「かかりつけ」算定要件を一部緩和し、関連点数の算定を広げ、地域における患者の受入機能の強化をはかる仕組みが広げられました。地域包括診療料・加算等、在宅時医学総合管理料等届出等(在支診、在支病に限る)医療機関の初診料に「機能強化加算」を新設、一部の医療機関を評価する形にはなっていますが、地域医療を守る診療所全体の底上げになるものにはなっていません。

ITを利用した「遠隔診療」では、「オンライン診療料、オンライン医学管理料」が新設されますが、緊急時対応等の医療安全、個人情報やプライバシー保護と問題は多く、保険診療への拙速な導入には疑問があります。

入院では、10対1看護配置を基本評価とするため、医療現場に一層の混乱がもたらされるのではないかと危惧されます。

歯科診療報酬本体は0.69%プラスに止まりました。歯科医療経営の厳しい現状を打開し、抜本的に改善するためには余りにも低すぎると言わざるを得ません。今回改定においても歯科衛生士や技工士の技術料が、正当に評価されておらず、委託歯科技工料問題は放置されたままです。

医療費総枠の拡大と診療報酬の抜本的引き上げを、強く求めるものです。