第929回:安倍政権下の社会保障改悪を見る(下)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年10月15日号(第1758号)に掲載した、「安倍政権下の社会保障改悪を見る」の後半部分です。

この文章は、選挙公示前の10月9日に書いたものです。

(承前)

14年12月に施行された、「社会保障改革プログラム法」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律)では、「政府は、住民相互の助け合いの重要性を認識し、自助・自立のための環境整備等の推進を図るものとする」として、憲法25条に定められた、社会保障に対する国の義務を放棄してしまいました。

15年5月に施行された、「医療保険改革法」(持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律)では、国保の都道府県単一化、医療費抑制を目的とする、医療費適正化計画を都道府県が策定し、地方自治体に社会保障費削減の責任を押しつけています。

政府の示した方針は「一人当たり医療費の地域差について、……地域差の縮減を目指す」で、具体的には「都道府県別の一人当たり医療費の差を半減させることを目指す」としています。一人当たり医療費の高い都道府県に引き下げを強要するとは、いわば「モグラたたき」方式であり、際限のない医療費引き下げ競争を都道府県に強要することになります。

17年度は、以下のような内容が実施されます。カッコ内の数値は国庫削減額です。

①70歳以上の高額医療費の自己負担引き上げ(224億円)

②後期高齢者医療制度の保険料軽減の縮小・廃止(187億円)

③65歳以上の療養病床入院時の光熱水費の自己負担引き上げと対象患者の拡大(17億円)

これらは法改正が不要な内容です。今後は、「改革工程表」に基づき、①外来時の医療費負担を、3割の法定負担に加え定額負担の上乗せをする「外来時の定額負担」制度の導入、②処方された薬剤に対して、先発品を選んだ場合後発品との差額を患者負担にする、③後期高齢者の患者負担を2倍にする(1割から2割)、などが選挙後に浮上してきます。

「日本を、取り戻す」から「社会保障を、取り戻す」結果を出したいものです。