第914回:医療費を高騰させる高すぎる薬剤費を考える

9月8日、健保連(健康保険組合連合会)が「平成28年度高額レセプト上位の概要」を公表しました。

それによると、1位と2位はいずれも血液疾患で、1ヶ月の医療費が1億円を超すものでした。3位から15位が3000万円超~約7000万円で、1例が心臓疾患、他はすべて血液疾患でした。

健保連によれば、「上位100位が1,600万超(前年度:1,300超)、また2,000万以上の件数が、対前年度比22件増(47%増)の69件で過去最多を更新しており、医療費の高額化傾向を示す」としています。

循環器疾患の場合、人工心臓などの医療機器が高額の場合もありますが、一つの手術で数多く使うことはありませんから、ある一定の限度があります。ところが、血液疾患の場合、必要に応じて薬剤を使用するために使っただけ医療費が増える構造になるため、高額薬剤が出現すると医療費が跳ね上がるということになります。

過去10年の「1位」の医療費の額(単位は万円。1万円未満を四捨五入)を見てみると、07年:3763、08年:2842、09年:3828、10年:4639、11年:11555、12年:8481、13年:6221、14年:2992、15年:4253、16年:10694で、2015年を除き、血液疾患の治療費になります。14年は以前と同様ですが、たまたま該当患者がいなかったためでしょう。

こう見てみると、薬剤費の高騰が医療費を引き上げていることが明らかです。救命に必要な薬剤を使用している訳ですから、治療に問題があるではなく、薬剤費に問題があるのではないでしょうか。