第896回:香川県保険医協会総会で採択された決議を紹介します

6月18日に、第36回香川県保険医協会定期総会が開催され、下記の内容で、「決議」が採択されました。紹介します。

いのちと健康、社会保障制度を守り発展させ、平和と民主主義を守ろう

香川県保険医協会は国民皆保険制度を守る取り組みや、地域医療の実践と向上に取り組んできた。人口構成と疾病構造の変化により、地域医療の役割は一層高まっている。第一線医療を担う私たち開業保険医は、住民の期待と要求に応えなければならない。

安倍政権は、「アベノミクス」や「新3本の矢」、「一億総活躍社会」などを掲げ、日銀と一体となり大企業の利益優先施策をすすめる一方で、社会保障の大幅な削減を続けている。近々明らかにされる経済財政諮問会議の「骨太方針2017」や来年度予算概算要求では、社会保障の自然増を毎年5000億円に抑制する方策が検討され、医療・介護報酬のマイナス改定を狙ってくる。

非正規労働者が約2000万人を超え、国民の給与所得額は減少し、生活保護受給世帯が過去最高となり、こどもの6人のうち1人が貧困の状態にあるなど、貧困と格差が拡大している。これ以上の負担増と給付の削減、医療費の抑制は、受診抑制と患者の重症化をさらに深刻化させるものである。

憲法の保障する生存権、社会保障の基本理念を無視し、国民の「自立、自助や互助」を強調することにより、社会保障に対する国の責任を放棄することは、地域医療の拡充、発展に向けた私たちの努力を無にし、国民のいのちと健康、暮らしを軽視することにほかならない。

安倍政権は一昨年、多くの国民の反対を無視して安保法制を強行成立させた。そして今国会では「共謀罪」を、広範な国民世論と海外からの憂慮する発言を無視した上で、国会法を逸脱して参議院法務委員会の審議、採決を省略する「中間報告」とし、参議院本会議での強行採決に及んだ。議会制民主主義の原則を破壊する暴挙であり、国民主権を否定するものとして抗議するものである。

今年秋以降の解散・総選挙が濃厚であり、憲法違反の「安保法制」「特定秘密保護法」「共謀罪」の廃止、いのちと健康、社会保障制度を守り発展させることを要求とし、以下の要求項目の実現に向けて本総会での活動方針に基づき取組みを進める。

同時に、人命を守る医療者として平和を希求するとともに、「海外で戦争する国」づくりに反対し、平和と民主主義を守る取り組みを進める。

 

———— 記 ————–

一、地域医療の充実と向上のため、2018年診療報酬改定では、医師・歯科医師などの技術料を大幅に引き上げること

一、医療・介護など社会保障の抑制、削減方針を転換し、拡充・発展させること

一、患者窓口負担増計画は直ちに止めること

一、医療への消費税課税には「ゼロ税率」を適用すること

一、審査、指導、監査等は、保険医と患者の人権が守られることを優先すること

一、米国との二国間協定は推進せず、国民皆保険制度を守ること

一、個人の医療情報を、給付の統制・管理や営利事業などに利活用する「マイナンバー制度」は直ちに中止すること

一、国民の生活を守るため、第9条や第25条をはじめ、日本国憲法を守ること

一、伊方原発を初めとする各地の原発稼働は停止し、国内原発を廃炉にすること

一、人権尊重、平和主義、民主主義に基づく日本国憲法を遵守し、憲法違反の「安保法制」、「共謀罪」法は廃止すること