第875回:介護保険の行く末を考える(その1)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年2月19日号(第1731号)に掲載した、介護保険制度に関する内容の前半部分です。

2017年1月27日付の「朝日」の「耕論」欄は、「介護保険 どこへ」と題して3人の意見を掲載しました。その中で、「急激な見直し 苦しむ現場」の見出しで、高松市の大西秀人市長の意見が掲載され、その考えに注目しました。

大西市長は、全国市長会の介護保険対策特別委員長で、厚生労働省の社会保障審議会の部会委員を務めており、その立場からの発言だと思います。

大西市長の主張は3点に分けられます。

一番目は、要支援1・2の一部サービスを全国一律の保険給付から市区町村の独自事業に移行している最中だが、民間事業者が手をあげてくれない、小さな町村では人材が少ない。その検証ができていない段階で「要介護1・2」の人向けのサービスの一部を地域支援事業に移すかどうかが議論された。あまりに時期尚早だと感じた、というものです。

二番目は、高松市では要介護1・2の人の約6割が認知症、サービスの対象を要介護3以上に限定するのは、簡単にはやらない方がいい、というものです。「保険料を払っているのに…介護保険のお世話になれない人が増えれば、保険としての信頼がなくなって」しまうと、述べています。

三番目は利用者負担の問題で、15年に一定所得以上の人の自己負担を1割から2割にしたばかりなのに、18年には現役並み所得者は3割になる。「必要なサービス利用を控える人も出て逆に重度化してしまう。そうなれば本末転倒です」と述べています。

(次号に続く)