第871回:2017年度予算案に見る社会保障改悪

香川県保険医協会の会報の2017年2月号の「主張」欄に掲載した文章を紹介します。一部修正しています。

2017年度予算案の内容が、徐々に明らかになってきました。この間、安倍政権は社会保障分野での国民への負担増と給付削減政策を進めてきました。

15年6月には「骨太方針」の閣議決定を行い、高齢化に伴う年間1兆円近い社会保障費の「自然増」を年平均5千億円に抑え込む「社会保障改革の工程表」を15年12月に策定しました。

これに加えて、年金額引き下げなどがあり、13年度から17年度の5年間で社会保障費の削減は3兆45百億円を超えます。

70歳以上の医療費窓口負担は、現行制度で既に1割から2割に順次引き上げられていますが、さらに負担上限額が引き上げられます。17年8月より、年収370万未満で住民税課税されている方は、1万2千円から1万4千円に(18年8月からは1万8千円)、370万円以上は4万4千円から5万7600円に引き上げられます。70歳以上の外来だけの窓口負担の上限も、縮小・一部廃止されます。

後期高齢者の保険料も、「所得割」の「軽減特例」(年金収入が153万~211万円)を17年4月からは現行の5割から2割に縮小、18年4月からは廃止されます。

療養病床に入院中の65歳以上の人の居住費を、1日320円から370円に引き上げます。長期入院であることを考えると影響は大です。

介護保険の利用料の上限を、「一般的な」所得の人(住民税課税世帯で年収383万円未満)の場合、17年8月より月3万72百円から、4万44百円に引き上げます。さらに、18年8月からは現役並み所得(一人暮らし、年収が340万円以上)なら、利用者負担が2割から3割に引き上げられます。

介護保険料も17年度からは、健保組合や協会けんぽなどの場合、加入者収入(報酬額)に応じた総報酬制に段階的に移行し、20年度からは全面的に導入するとされ、40歳から65歳までの方の保険料も引き上げられます。

医療・介護の改悪許すなの声を大きく上げていく必要があります。

注:2017年度予算案は2月27日の衆院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決し、参院に送付されました。憲法上の規定により予算は衆議院で議決されれば、参議院での議決がなくても参院送付後30日で自然成立するため、16年度内に成立することになりました。