第846回:第19回APHCO理事会のインドからの報告です(1)

ケララ協同病院連盟のパドマナブハン会長の報告です。首に巻いているのは、歓迎などの意味を持つ「カダ」です

ケララ協同病院連盟のパドマナブハン会長の報告です。
首に巻いているのは、歓迎などの意味を持つ「カダ」です

第19回APHCO(アジア・太平洋地域保健協同組合協議会)理事会の報告の続きです。

各国からの報告(カントリー・リポート)のいくつかを紹介したいと思います。2017年の第20回APHCO総会はインドのムンバイで11月に開催される予定です。インドからの報告を紹介します。

まず、インド・ケララ州のケララ協同病院連盟会長のパドマナブハンさんの報告です。

インドでは、主だった町や都市部には民間組織や慈善団体による専門病院や総合病院があります。政府部門も、地域の保健所など医療分野で重要な役割を担っています。また地区病院、県立病院や医科大学も、インドの様々な州で政府が運営しています。

しかし、農村部に住む人々の大半が、十分な医療を受けられていません。農村部では経営状況が厳しいため、民間部門はそこでの医療提供に興味を示しません。政府部門も財政危機のため、農村部貧困層の医療ニーズへ応えられませんでした。このためインドでは、貧困層の医療ニーズが高まっています。

インド憲法では、健康は州の問題であるとされています。したがって各州にはそれぞれ独自の医療提供システムがあり、公共部門も民間部門(営利・非営利含む)も活動を行っています。州にはそれぞれの医療システムを機能させる責任がありますが、連邦(中央)政府が担う役割もあります。具体的には、政策決定、計画、指導、支援、評価、様々な県保健局の業務調整、国のプログラムを実施するための資金提供が挙げられます。

後ろの列が理事会参加者。前の列が会場設営・運営で協力いただいたフェクト・ネパールのみなさんです

後ろの列が理事会参加者。
前の列が会場設営・運営で協力いただいたフェクト・ネパールのみなさんです

全国の健康政策では、健康関連のあらゆる活動で民間部門の参加を歓迎しています。この政策ではまた、民間保険の設立も奨励しており、これは民間医療保険パッケージの下での二次・三次部門のカバー範囲拡大を目指したものです。

インドでは民間医療提供者への依存度が高まっており、現在は民間部門が外来サービスの78%、入院サービスの60%を占めています。民間医療提供者の中には、世界クラスのサービスを外国人やインド人富裕層へ提供することで医療ツーリズムを促進する、民間病院も含まれます。

近年では公的な投資や支出が減少しているために、インドの大半で医療にアクセスしにくい状況が見られます。その結果、人々は民間部門を使わざるを得なくなり、民間施設の利用者やサービスが急速に拡大しています。

(次号に続く)