第840回:診療報酬のページ(1) 湿布薬の処方制限について

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。「飛来峰」で掲載した内容と重複する内容が大半ですが、再掲します。

2016年4月号に掲載した内容です。

4月からの診療報酬改定の特徴点について、社保のページで解説していきたいと思います。

最初は、「湿布薬」の処方枚数の制限についてです。これは、「一度に多量に処方される湿布薬が一定程度あり、残薬削減等の保険給付適正化の観点」から導入されたものです。

貼り薬すべてではなく、鎮痛・消炎を目的とするいわゆる「シップ」が対象で、麻薬、降圧効果や気管支拡張効果を持つもの、認知症の治療や狭心症等に用いるものは対象ではありません。

1回の処方につき、各種湿布を合わせて70枚までとなりました。70枚を超える場合はその理由(医学的根拠)の記載が必要です。1回の処方が何日分に当たるかも記載が必要になります。

これまで、処方日数の制限が撤廃されてから(理論的には)何枚処方してもよかったのですが、それなりの理由が必要となりました。

院外処方の場合、処方箋やレセプト(診療報酬明細書)にその理由の記載が必要ですから、面倒になりましたが、逆にいうと明確な医学的根拠・理由があればよい、ということになります。

厚労省によれば、国費ベースで約30億円の削減が可能とされます。

これは1回あたりの処方枚数制限ですから、1カ月当たりの処方枚数に制限はありません。しかし、3月4日に開催した地方厚生局や都道府県の担当者向けの改定説明会で、「個別の患者における湿布薬処方の必要性について、審査機関が審査することを排除しているわけではない」と付け加えており、審査で査定される可能性は厚労省も認めていますから、事実上の処方制限になったといえます。