第838回:高薬価薬剤について考える(その2)

第837回(10月25日付)の「ニボルマブ」という抗がん剤の薬価についての続きです。

この薬剤は「根治切除不能な悪性黒色腫」に対しては「1 回2 mg/kg(体重)を3 週間間隔で点滴静注」する、というものでしたが、2015年12月に「非小細胞肺がん」に適応が広がった時に、「根治切除不能な悪性黒色腫」に対しても「1 回3mg/kg(体重)を2 週間間隔で点滴静注」が可能となりました。

要するに投与量を増やして(2mg/kgから3mg/kg)、投与回数も3週間隔から2週間隔に増やしたことになります。体重が60kgの場合、6週間で120mg×2回から、180mg×3回投与することになり、使用量は2倍以上になります。

対象患者は470人から数万人なった訳です、こちらは100倍になったといえます。高すぎる薬価の是正は急務だといえます。

薬剤の定価、薬価を算定するときには、似たような効果を持つ薬剤の薬価を参考にする「類似薬効方式」で決められますが、似たような薬剤がない場合は、メーカーの主張が大きく反映される仕組みになっています。

特別に有用性が高いと判断される場合には「有用性加算」として、5%が加算されますが、今回はなぜか10%が加算されています。また、「営業利益率加算」として60%が加算されていますが、これもその理由は明らかではありません。

高すぎる薬価の是正とともに、薬価算定の審議について公開することが求められます。