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Monthly Archives: 10月 2017

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年9月17日号(第1755号))に掲載した、「負担の公平化」について考える(その3)の後半部分です。

05年からは、「在宅と施設の給付と負担の公平性、介護保険給付と年金給付との調整の観点から」介護保険3施設(※)では、食費及び居住費は、原則として保険給付外となりました。

06年からは、入院時生活療養費制度が導入され、医療療養病床についても、「介護病床と同様に『住まい』としての機能を有していることに着目し、介護保険における食費・居住費の見直しを踏まえ、介護施設において通常本人や家族が負担している食費(食材料費+調理費相当)及び居住費(光熱水費相当)を自己負担化」することになりました(※2)。

「公平」な制度変更といいつつ、常に「高い(重い)方に統一」されてきた訳です。

16年4月から、医療保険における入院時の食費については、次のように変更されました。一般病床の場合、所得区分が一般なら、1食260円から360円に、18年4月からは460円に引き上げられます。毎食460円なら30日で4万円を超しますから、最近話題の「おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活」の2倍ということになります。

また、65歳以上で医療療養病床に入院した時の居住費も、医療度の低い医療区分Ⅰの場合、17年9月まで1日320円から、17年10月より370円に引き上げられます。医療区分Ⅰ以外(難病等は除く)は、17年9月まではゼロ、17年10月から1日200円、18年4月からは1日370円と連続して引き上げられます。

なお、上記の食費・居住費は、難病患者や所得により、また長期入院の場合は少し異なる場合があります。

いずれにしても、「公平」と言いながら負担を増やす政策であり、引き上げたことによる影響調査などは一切行われず、「負担ありき」といえます。サイフの中味を気にせず、安心して入院・入所が可能な制度にすべきではないでしょうか。

※介護保険3施設とは、介護老人福祉施設=特別養護老人ホーム、介護老人保健施設=老健、介護療養型病床、を指します。

※2:差額ベッドを是認するわけではありませんが、この論理でいけば、居住費を取ってなおかつ差額ベッドを取ることは許されないことになります。

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年9月17日号(第1755号)に掲載した、「負担の公平化」について考える(その3)の前半部分です。

これまで、「公平な負担」について触れてきました。今回は、「医療と介護の公平化」「入院と在宅の公平化」について考えてみます。

前回(10月6日付・10月17日付本欄)述べたように、15年8月から、65歳以上の第1号被保険者の上位2割にあたる「相対的に負担能力の高い人」、原則として本人の年間合計所得金額が160万円以上の人が、「一定以上の所得」のある方として、介護保険の利用料が2割負担の対象となりましたが、その影響を調査することなく18年8月からは3割負担に引き上げられます。

「医療と介護の公平化」とは、介護保険の利用料は医療保険の自己負担と比べて負担割合が軽いので、医療保険に合わせて負担を重くする、という意味で、負担が重い方に合わせたことになります。

医療保険の自己負担で見ると、入院時の自己負担について、「入院医療と在宅医療の公平」という名目で(家でも病院でも食事はするからという意味です)、食事代の負担が引き上げられます。

そもそも、「医療上の必要性から入院しており、病院での食事・居住サービスは、入院している患者の病状に応じ、医学的管理の下に保障する必要がある」という理由で、食費・居住費については保険給付の対象とされていました。

食事代についても、入院すれば食事するのは当然だし、疾病によっては医学的に適切な食事を提供する必要があることより「入院時基本診療料の一部(給食加算)として評価」されていました。1972年からは、さらにきちんと評価する意味で、「入院時基本診療料とは別に、給食料を新設」することになったものです。

この流れが変わったのが、1994年に導入された、入院時食事療養費制度です。「入院時の食費は、保険給付の対象としつつ、在宅と入院の費用負担の公平化の観点から、在宅と入院双方にかかる費用として、食材料費相当額を自己負担化」することになりました。同時に、「患者側のコスト負担意識を高めることによる、食事の質向上の効果も期待」されるとしています。

(次号に続く)

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。2017年9月号に掲載した内容です。

療養病棟入院基本料や有床診療所療養病床入院基本料は、投薬・注射の薬剤料は一部を除いて包括点数(いわゆるマルメ)になっています。

包括点数から除かれる薬剤として、悪性新生物に罹患している患者に投与される抗悪性腫瘍剤があります。

薬効分類表によると、Ⅳ.組織細胞機能用医薬品の中の、2 腫瘍薬、として、「421.アルキル化剤、422.代謝拮抗剤、423.抗腫瘍性抗生物質製剤、424.抗腫瘍性植物製剤、429.その他の腫瘍薬」があり、これらが「抗悪性腫瘍剤」です。

これら以外にも、「639.その他の生物学的製剤」のインターフェロンや、「249.その他のホルモン剤」の酢酸リュープロレリンが悪性腫瘍に対する効能を持っており、この取り扱いについては、平成28年3月31日付事務連絡、「疑義解釈資料(その1)」には、以下のようになっています。

医科診療報酬点数表関係の、(問35)「療養病棟入院基本料を算定する病棟において、インターフェロン、酢酸リュープロレリン等の悪性腫瘍に対する効能を有する薬剤を使用した場合、抗悪性腫瘍剤として薬剤料を算定できるか」に対して、(答)「算定できる」となっています。

なお、この根拠となる通知は、平成20年3月28日の事務連絡「平成20年度診療報酬改定関連通知の一部訂正について」の中に、「別紙7 一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価票」があります。その「評価の手引き」として、「9 専門的な治療・処置」「①抗悪性腫瘍剤の使用」として、「抗悪性腫瘍剤は……作用機序から、……5)ホルモン、6)その他(インターフェロン製剤含む)に分類される」となっています。

この問題に対する会員からの質問を元に、今回の文章を作成しました。

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年8月13日号に掲載した、「負担の公平化」について考える(その2)の後半部分です。10月6日付の第920回の続きです。

(承前)

介護保険の利用料については、15年8月から「一定以上の所得がある人」(65歳以上の第1号被保険者のみ。第2号被保険者は対象外)が利用する際、自己負担割合を1割から2割に引き上げられることになりました。

「一定以上の所得」とは、高額所得者という意味ではなく、65歳以上の第1号被保険者の上位2割にあたる「相対的に負担能力の高い人」が対象になります。つまり、「一定以上」とは所得額の話ではなく、「全体の上位20%の人」を意味するのです。

具体的には、本人の年間合計所得金額が160万円以上の人が対象となります。ただし、以下の場合は1割のままです。

・単身の場合、本人の年金収入+その他の合計所得金額が280万円未満の人

・本人の世帯内で他に第1号被保険者がいる場合、その人の年金収入+その他の合計所得金額まで合わせた総額が346万円未満の人

この対象者は約45万人とされますが、そのうちの「一定所得者」12万人がさらに3割負担に引き上げられます。

17年5月26日に成立した「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」は、介護保険法だけでなく医療法、社会福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法など31の法律をまとめて改正する法案でした。しかし、衆議院の審議は22時間、参議院の審議は16時間と短時間の審議で採決を強行し、国民の大きな批判をあびたところです。15年8月に2割負担に引き上げられたため負担に耐えられず、特別養護老人ホームを退所したり、サービス利用を控えたりする事態が生まれています。

2割負担の影響調査を実施することなく、連続する引き上げを強行したことについて、強く抗議をしたいと思います。

法案を提出した時の厚労省の資料では、合計所得金額(給与収入や事業収入等から給与所得控除や必要経費を控除した額) 220万円以上を想定。年金収入プラスその他所得ベースにすると340万円以上に相当(年金収入だけの場合は344万円)とあり、具体的な基準は政令で示すことになっています。

また、沖縄で米軍機が墜落しました。

11日(水)17時半過ぎ、沖縄県東村高江(ひがしそん・たかえ)の民家(民間所有の牧草地)に、米軍ヘリが飛行中に出火し、墜落しました。

住民への被害はなかったようですが、墜落直後より、米軍機が民家に着陸し米軍兵を救助したようです。米軍により立ち入り禁止になったため、所有者は牧草地に出入りできなくなり、飼っている豚の出荷もできなくなったと報じられています。

高江の集落周辺には6カ所のオスプレイパッド(ヘリ着陸帯)を建設されています。2カ所が15年2月、4カ所が16年12月に米軍に提供され、米海兵隊のMV22オスプレイや米軍ヘリの飛行が昼夜を問わず激増していた地域です。

今回事故を起こしたCH53は、2004年8月に沖縄国際大の校舎に激突し、墜落・炎上しています。

人命に被害がなかったとはいえ、営業には大きな被害がもたらされており、牧草地も今後使用可能かどうかは現時点ではわかりません。

オスプレイNO、米軍基地NOの声を上げていく必要があります。

10月6日の報道ステーションで、コメンテーターの井上達夫東大教授が、「核兵器禁止条約に日本が署名せず交渉過程にも参加しなかった。核廃絶にむけてどんなステップをとるか、安倍政権・自民党だけじゃなく野党も選挙で政策にあげてない」と発言したそうです。その後、司会者から「共産党は選挙政策に掲載している」と訂正があったそうですが。

7月7日に国連で、加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で「核兵器禁止条約」が採択されました。核兵器が非人道的、反道徳的というだけでなく、人類史上初めて、核兵器を違法化し、「悪の烙印」を押すという画期的なものです。この条約の成立により、核兵器の「開発、実験、生産、保有、使用、使用の威嚇」が全面禁止となりました。

今後は、この条約への署名を、核兵器保有国や日本など採択に参加しなかった国の政府に求めていく運動が求められています。

そして、今年のノーベル平和賞は、ICAN(アイキャン:核兵器廃絶国際キャンペーン)が受賞することになりました。授賞理由は「核兵器使用が人類にもたらす壊滅的な惨禍について注意を引こうとし、条約に基づいた核兵器の禁止実現に向けた画期的な努力に対するもの」で、広い意味で日本の被爆者を先頭にした核廃絶運動も貢献したといえます。

日本政府や外務省は、コメントを出しませんでしたが、受賞の意味と重要性を広げていく必要があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年8月13日号に掲載した、「負担の公平化」について考える(その2)の前半部分です。

「公平な負担」のうち、「世代間・世代内の公平」について触れます。

まず、介護保険利用料の自己負担についてです。2000年の介護保険制度発足以来、利用料は所得に関わらず1割負担でした。

ところが、2014年6月に、医療法や介護保険法などの19の法律を改正する、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)が成立し、翌15年の介護保険改正により、介護保険がスタートしてから初めて「利用者が支払う介護サービスへの自己負担の割合」が所得により変更されることになりました。

その背景は、13年8月6日に「社会保障制度改革国民会議」が出した「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」の中にあります。「すべての世代を対象とし、すべての世代が相互に支え合う仕組み」として、以下のように述べました。

・世代間の公平だけではなく、世代内の公平も重要であり、特に他の年代と比較して格差の大きい高齢者については、一律横並びに対応するのではなく、負担能力に応じて社会保障財源に貢献してもらうことが必要である。

・このような観点から、これまでの「年齢別」から「負担能力別」に負担の在り方を切り替え、社会保障・税番号制度も活用し、資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべきである。

つまり、高齢者は資産や収入に格差が大きく、高齢者世代内の格差が他世代よりも大きいため、「世代内の公平性」を保つために「資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべき」と述べられています。

それなら、株で大儲けをしていたり巨額の資産を持っている人は現在より負担を増やし、所得が少ない人は現在より負担を軽減するのが筋だと思いますが、そうではありません(注)。

注:近藤克則・千葉大教授によれば、「お金持ちの特徴は、要介護状態も少ない」「要介護者は高所得者に比べ低所得者で5倍も多い」のが、実際です。(「健康格差社会」を生き抜く,朝日新聞出版,2010年1月)

(次号に続く)

香川県保険医協会報2017年9月号の「主張」欄に、遠隔診療に係る内容を掲載しました。転載します。

2018年4月の医療・介護報酬の同時改定に向けて、中医協(中央社会保険医療協議会)など、各種審議会で議論が急ピッチで進んでいます。

次回改定で導入が検討されているICT(注1)を活用した、「遠隔診療」について考えます。

医師法第20条は、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付」してはならないことを定めています。

診察を行うことなく診療を行う「遠隔診療」については、平成9年12月の通知(注2)の中で、「診療は、医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本」「初診及び急性期の疾患に対しては、原則として直接の対面診療」によることとしましたが、「直接の対面診療を行うことが困難な」離島やへき地の場合、在宅酸素療法患者や在宅難病患者など9つの例示を挙げ、遠隔診療が認められるとしていました。

この通知に対して、平成27年8月10日の事務連絡の中で、「直接の対面診療を行った上で、遠隔診療を行わなければならないものではない」としました。つまり、「初診はかならずしも対面診療である必要はない」、遠隔診療の全面解禁として、営利企業などがいっせいに走りだしました。

さらに、平成29年7月14日付の医政局長通知で「テレビ電話や、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス等の情報通信機器を組み合わせ」「直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報な情報が得られる場合」は「遠隔診療」は認められるとしました。

しかし、どんな病気でも、対面診療を行うことなく(目の前で患者を診ることなく)、診断し治療方針を決めることができるのか、医療の安全をどう確保するのか、初診時の患者の同意はどう確認するかなど、疑問は多く、中医協においてきちんとした検討なく、拙速に保険診療として導入すべきではないと思います。

注1:ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術

注2:健政発第1075 号:情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について