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Monthly Archives: 8月 2016

2018年4月の介護保険制度の見直しについて、第822回(8月26日)では、介護サービスの内容について触れました。

今回は、利用料について、これまで介護保険の利用料は1割でしたが、15年改定で、2015年8月から「一定以上所得者の負担割合の見直し」が行われ、本人の合計所得金額が160万以上の場合は原則として2割負担となりました。

18年改定ではこの基準を拡大し、2割負担の人をさらに増やすことが検討されています。また、医療の高額医療費に相当する高額介護サービス費の37,200円の自己負担上限を、医療保険の現役並み所得者と同水準である44,400円に引き上げる、介護施設入所の低所得者に対する「補足給付」(食費・居住費補助)について、15年8月から一定の預貯金などがある場合は対象外としましたが、宅地など不動産を保有している場合も新たに対象外とするなどの改悪が準備されています。

(この項続く)

2018年4月は3年に1回行われる介護保険制度の見直しの年です。さらに医療費の定価を決める診療報酬の改正も控え、大幅な医療・介護報酬の見直し、実施的には引き下げが行われると予想されています。

厚生労働相の諮問機関である、社会保障審議会(介護保険部会)で、介護サービスの縮小の議論が始まっています。

7月20日には第60回、8月19日には第61回の会合が開催され、この31日には第62回が開催予定と、急ピッチに議論が進んでいます。

まず取り上げられているのが、「軽度者への支援のあり方」で、要介護1・2の方への生活援助を介護保険制度のサービスから外すというものです。生活援助とは「日常生活の援助であり本人の代行的に行われるサービスを中心としたサービス」のことで、具体的には、調理、洗濯、掃除等を指します。そもそも調理や洗濯などが自分でできるのなら要介護と認定されることは稀で、できないから「要介護」になっているのです。明らかに、介護保険制度の趣旨に反するものだといえます。

また、福祉用具の貸与や住宅改修を保険対象から外すことも検討されています。福祉用具とは「車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ」などで、いずれも要介護状態の方には必要なものばかりです。

こういった、介護の現場の実情を無視した見直しには反対です。

高薬価の問題ではC型肝炎の治療薬がずいぶん話題になりました。

最近の薬剤は、以前のC型肝炎の治療薬に比べて副作用が少なく、効果も高く治療期間も12週間で済むという特徴があります。といっても薬価が高いのは事実で、ソホスブビルは1錠61,799円で、12週間投与すると薬剤費だけで約519万になりました。レジパスビル/ソホスブビルの配合薬は1錠80,171円で、12週で約670万円でした。

この4月の薬価改定で、年間販売額が1500億円超かつ予想販売額の1.3倍以上となる製品は最大50%引き下げる「特例拡大再算定」制度ができました。表現は悪いですが「バカ売れしたら安くする」制度です。これにより、ソホスブビルは、1錠61.799円から42,239円になり12週投与時の薬剤費は、約519万から約355万円に引き下げられました。また、レジパスビル/ソホスブビルの配合薬は、1錠80,171円から54,796円に引き下げられ、12週投与時の薬剤費は約670万円から約460万円になりました。

これまでのように1年間や1年半治療をするわけではないので、総医療費という点ではどうかという意見があるでしょうが、薬価が高いという事実には変わりありません。ここにTPPの問題が絡んできます。

いまは、中央社会保険医療協議会で審議を行うし、超高価な薬剤の使用が増えたら薬価を引き下げる仕組みがありますが、TPPを批准したら米国の企業や国際企業が、「自社の利益を損なう制度」として、日本の薬価制度を訴える可能性もあります。そうなったら、事実上皆保険制度が成り立たなくなります。

高すぎる薬価、TPPなど、大いに医療界から問題にしないといけません。

6月3日付(第802回)で、高薬価の薬剤の問題について触れましたが、最近の中医協(中央社会保険医療協議会)でも取り上げられています。7月27日に開催された第334回中医協では、「高価な薬剤への対応」が議題になっています。

薬の値段(薬価)は、効果が似たものを基準に決定する「類似薬効方式」を原則とし、比較する薬剤が存在しない時に「原価計算方式」といった、製薬メーカーが提出するデータをもとに決定するのが基本です。「類似薬効」といっても、実際には様々な加算がつき高い薬価になることもありますが、基本的にはとびぬけた薬価にはなりにくい仕組みがあります。

今回問題になったのは、一般名「ニボルマブ」という薬剤で、「根治切除不能な悪性黒色腫」に効果があり、対象患者数が年間数百名と見込まれたため、100mg1瓶が約73万円という破格の薬価がつきました。年間医療費が3,500万円と見込まれおり、この金額自体もどうかと思いますが、今回問題になったのは、他の疾病にも効果があるとして、「効能の拡大」が行われることになったためです。「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」が適応になったため対象患者が数万人に拡大、今月には腎臓がんの一部、さらに血液のがんにも拡大する予定となりました。

そのため、患者5万人がこの薬剤を1年間使用すると、薬価引き下げがなければ、薬剤費だけで年間1兆7500億円になるという試算もあります。このままだと、年間5兆円の防衛費どころではなく、医療保険制度そのものが崩壊することになります。

薬価のありかたを根本的に見直すべきではないでしょうか。

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年7月17日号に掲載した「社会保障はどうなるか(7) 診療報酬改定に見るこれからの医療(3)」です。

診療報酬や医療制度について、この連載では「改悪」「後退」など批判的に紹介することが多いのですが、もちろん少なからず改善点もあります(多くはないという意味ですが)。

例えば、これまでは、平日の昼休み時間帯の往診も、日曜日や休・祝日の昼間(午前8時~午後6時。以下、休日等)の往診も、再診料に休日加算が付く以外は同じ扱いでした。

4月からは、休日等の往診が夜間と同じ扱いになります。休日の呼び出しに応じても平日と同じ扱いというのには大きな違和感がありましたが、正当な評価になりました。ただ、土曜の午後(診療終了後から18時まで)は、平日と同じです。

前号(第813回 7月12日)で、2014年の改定時に、一つの施設で複数の患者を同一日に診察したときの報酬が3割以下に引き下げられたが、今回は少し改善したと書きました。この問題はマスコミでも大きく取り上げられたため、診察料(在宅患者訪問診療料)については、介護保険サービスが提供される「特定施設」とそれ以外のマンションや有料老人ホームの差がなくなり、その点では改善しました。

施設入居時等医学総合管理料が、「単一建物診療患者」が1人、2~9人、10人以上で点数に差が付きました(※1)。診察料が、同じ建物で複数の患者を診る場合と、車で移動しながら複数の患者を診る場合で差があるのは納得できますが、患者の病状を個別に考える「管理料」に差があるのは納得できないところです。

今回から、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算が新たに設定されました。従来の強化型在宅療養支援診療所(※2)や在宅療養支援病院であって、過去の1年間の緊急往診が15件以上、在宅看取り件数が20件以上、末期の悪性腫瘍患者への鎮痛療法の実施などについての細かな要件があり、高いハードルですが、要件を満たせば、往診への加算や在宅での看取りの加算点数が高くなります。

強化型ではない在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に対する「在宅療養実績加算」=時間外の往診や在宅看取りを評価するもの=が変更されました。従来の在宅療養実績加算が在宅療養実績加算1とし、少しハードルを下げた在宅療養実績加算2を新設しました。

在宅療養実績加算2は、時間外等の緊急往診が4件(加算1は10件)、在宅看取りが2件(加算1は4件)で、少し緩和されました。在宅医療の現実に見合った変更だと思いますが、まる2日間の研修が必要ですので、現実的にはハードルは高いと思います。

※1:「同一建物」「単一建物」と似たような用語が並び、それぞれ意味が違いますから、とても分かりにくい制度です。また、医師が1カ月に診た患者数で、それぞれの患者の医療費が変わるというのは、患者・家族にとってもわかりにくい制度だと思います。

※2:一つの診療所で算定可能な「単独型」と、2つ以上10未満の病院(200床未満)や診療所で構成する「連携型」があります。単独型の場合は常勤医3名以上が勤務しており、夜間往診などの緊急往診が直近1年で10件以上、在宅看取り件数が4件以上などの要件があります

注:HP製作会社の都合で、しばらくお休みです。次回は19日からアップします。

前回の続きで、「第7回24時間蓄尿塩分調査」の内容です。

調査対象は2,833人ですが、腎機能に異常がある方などを除いた2,510人が対象です。60歳代が28.4%、70歳代が25%と比較的高齢者が多い傾向がありますが、19歳以下が9.8%と若年世代も含まれています。女性が65.9%で、平均根例は女性のほうが高く、男性は19歳以下が15.4%いました。

生協加入年数が長く、年3回以上医療福祉生協の班会に参加している方が半数以上いました。健康に対する意識が高い集団とも言えるし、医療福祉生協の特徴と関連があるかもしれません。

塩分摂取量は8.94g/日で、注目すべきは日本高血圧学会が目標として示している塩分摂取量6g/日以下が20.2%いるということです。2005年度は10.8%、2011年度は16.5%でしたから、着実に「減塩運動」が効果を示しているといえるのではないでしょうか。

2015年4月に厚労省が示した「食事摂取基準」は、男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満ですが、今回調査では、19歳以下、80歳以上で目標値を達成している割合が増加しており、全体で33.0%でした。女性では、35.3%が目標値を達成、20歳代で目標値を達成する割合が大きく増加しましたが、80歳代では大きく減少していました。

今後も、こういった「エビデンス」を示す取り組みを行っていきます。

7月27日の午後、医療福祉生協連は東京都内で「第7回24時間蓄尿塩分調査報告会」を開催しました。

医療福祉生協は、日本生協連医療部会時代の1984年からほぼ5年に1回24時間蓄尿塩分調査を行ってきました。今回は2015年11月に81医療福祉生協、2,833人の参加で行われました。

塩分摂取量の平均は8.94gで、前回の2011年調査から0.55g/日減少しました。全国殆どの地域で前回より減少、殆どすべての年代で減少しています。塩分摂取量は食生活と密接な関係があり、「漬物類や塩蔵製品をよく食べる人」「麺類の汁を飲む人」は塩分摂取量が高くなっています。また、BMI値が高い人は塩分摂取量が高い傾向にありました。

また、カリウム摂取量は1.90g/日でこの間減少を続けてきましたが、今回0.01g/日増加しました。カリウム摂取量は食生活と密接な関係があり、野菜や果物をよく食べる人はカリウム摂取量が高い傾向にあります。また、甘い飲み物やスポーツドリンクなどをよく飲む人はカリウム摂取量が低い傾向にあります。

その他、詳細は下記のHPを参照ください。

http://www.hew.coop/2016/07/21655.html