毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 7月 2016

前回のアスベスト講演会の続きです。

講師の加藤さんは、尼崎の生まれで、2005年6月に公表された「クボタショック」で衝撃を受けたそうです。クボタショックとは、機械メーカー「クボタ」の兵庫県尼崎市の旧神﨑工場で工場の労働者だけでなく、周辺住民にもアスベストに特徴的な中皮腫などの犠牲者が出ていることが明らかになった事件のことです。

この事件の取材をきっかけに、加藤さんの息長い取材が始まりました。

世界最大規模の石綿企業ジョンズ・マンヴィル社のカナダの鉱山、米国ニュージャージー州マンヴィル市、エタニット社のイタリアのカザーレ・モンフェラートなどを訪れ取材しました。

今回の講演では、世界の状況も含め、ILOやWHOがアスベストの発がん性を警告したのちもアスベストの輸入を続け使い続けた日本国内で、今後もアスベスト被害が続出する可能性が高いと警鐘を鳴らしました。

高松市にあったエタパイ社や、神島化学の事例など、今後も取材を続けていくとのことですので、情報交換を行いながら、アスベスト問題に今後も取り組んでいきます。

香川アスベスト被害者を守る友の会が7月23日(土)午後、高松市内で「石綿汚染列島」-救済法から十年、“死の棘”が広げた被害が問う責任の所在、と題する講演会を開催し、約40人が参加しました。

約40人が参加し、熱心に講演に聞き入りました

約40人が参加し、
熱心に講演に聞き入りました

講師は神戸新聞東京支社編集委員の加藤正文さんです。加藤さんは、クボタショック以来、アスベスト問題の取材に力を入れ、作家の故・藤本義一さんの取材をはじめとした系統的な取材内容を「死の棘・アスベスト 作家はなぜ死んだのか」(中央公論新社2014年6月刊)という著書にまとめています。

講演は、クボタショックをはじめとして米国、イタリアなど海外取材の内容も交えながら、アスベスト問題を広く取り上げた内容で大変有益な内容でした。

引き続き、アスベスト問題に取り組んでいきたいと思います。

沖縄タイムス7月13日付は、東村高江(ひがしそんたかえ)のヘリパッド建設に関して、以下のように報道しました。

「沖縄県の東村と国頭村(くにがみそん)にまたがる米軍北部訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に向け、政府は警視庁などから500人規模の機動隊を東村高江のメインゲート前などに投入することが分かった」「連休明けの19日から順次沖縄入りする。沖縄防衛局は近く、ヘリパッド建設工事に着手する見込みだ」

今回の参院選で、沖縄選挙区では、オール沖縄の野党統一候補が圧勝し、辺野古の新基地建設ノーの民意が再び明確に示されました。しかし、安倍政権は参院選が終わるのを待っていたかのように、ヘリパッド建設を強行する姿勢を明らかにしました。

「政府関係者によると準備が整い次第、未着手の4カ所のうち国頭村安波(あは)のN1地区でヘリパッド建設に着手する予定」とされています。

翁長雄志知事は12日の県議会で、防衛局が参院選翌日に資機材を搬入したことに「とんでもない話で、強圧的だ」と政府の姿勢を批判しています。

民主主義を踏みにじるこういった強圧的なやり方は許せません。新基地建設ノー、米軍基地ノーの声を広げていかなければいけません。

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年6月19日号(第17077号)に掲載した「社会保障はどうなるか(6) 診療報酬改定に見るこれからの医療(2)」です。

今回の診療報酬改定の狙いの一つは「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」です。「質の高い」が何を意味するのかはともかく、従来なら入院医療の適応であった患者を在宅で見ることを重視していること(患者追い出しとは言いませんが)は、間違いありません。

診療報酬制度は複雑なので、これから説明する内容は、「在宅療養支援診療所」(※1)の届け出を行っており、「院外処方せんを発行している」場合です。

訪問診療とは、計画的に患者さんの家(施設)を訪問し、診療を行うことです。3月までの診療報酬でいうと、月に2回以上訪問診療を行うと1回あたり830点、さらに月に1回4,200点の在宅時医学総合管理料(在医総管)が算定できます。1点10円ですから、月に2回訪問診療を行うと、合計で6万円弱になります。検査や点滴を行うと別に算定できますから、一見収益が高いように思えますが、医師や看護師などを24時間365日拘束する制度ですから、それほど多額とは言えません。医療従事者の負担も大きいため、厚労省が予想したほどは増えていないのが現状です。

今回の診療報酬改定の方針は在宅重視でしたから、点数が増えるのかと思ったら必ずしもそうではありませんでした。今回の改定で、在医総管の4,200点が、患者の状態により、4,600点に増える方と、3,800点に引き下げになる方に分かれることになりました。

引き上げになるのは、末期の悪性腫瘍、難病法に指定する指定難病などの他、人工呼吸器の使用、気管切開を行っている、気管カニューレの使用、ドレーンチューブまたはカテーテルの使用などで、従来は入院医療や施設入所の対象だった方を在宅に移行させるための受け皿づくりといえます。

2014年4月の改定で、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの「同一建物」に入居している方に、同一日に複数の方に訪問診療を行ったときの訪問診療料(※2)が400点から203点に引き下げられました。さらに、月に2回以上訪問診療を行った場合に算定できる特定施設入居時医学総合管理料(特医総管)が、3,000点から720点に大幅に引き下げられました。

そのため、月2回施設に赴き複数の方の診療を定期的に行う場合、診療報酬が一気に3割以下に引き下げられることになりました。この突然の変更は現場に混乱をもたらし、在宅医療から撤退したり、月2回の診療のうち1回目は対象患者全員を診察し、もう1回は日にちを変えて診察する(2回のうち1回が一人だけの診察の場合は特医総管が従来通りの点数で算定できる)といった、笑えない実例が続出したようです。

今回の改定で、訪問診療料の「特定施設入居者」と「それ以外」の区別がなくなり同一点数で算定と、少し改善されました。また、特医総管について、同一日に何人診察したかで評価するのではなく、その建物に住む患者の数により算定する方式に変わりました。少し改善したとはいえ、同一建物に複数の方がいたら、管理料が引き下げられる訳での、まだまだ問題は多いといえます。

※1:在宅療養支援診療所は、医師または看護師に24時間連絡が可能で、往診や訪問看護の提供が可能な診療所です。

※2:特定施設に入居している場合の点数。1点は10円。特定施設とは、介護保険サービスの「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設のことで、介護付き有料老人ホーム、ケアハウス、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などの一部が該当します。

7月4日から6日まで広島市内で、医療福祉生協連2016年度看護3年次研修会が開催されました。仕事の都合で、1日目の4日だけ参加しました。

日ごろの活動と「いのちの章典」の関連について話し合うグループワークです

日ごろの活動と「いのちの章典」の関連について
話し合うグループワークです

ここ数年、看護師になって3年から5年、途中入職の方は医療福祉生協に就職してから3年から5年の看護師が対象となります。今年は80人が参加、にぎやかに研修が行われました。

最初は若干表情が固いのですが、すぐ打ち解けて夕食の頃になると旧知の友人のようにふるまっているのが印象的です。

私の話は、30分程度、「医療生協の患者の権利章典」から「医療福祉生協のいのちの章典」策定に至る歴史を話し、その後20分程度、日ごろの活動と「いのちの章典」との関連を考えるグループワークを行います。そのあと30分程度、「いのちの章典」ガイドラインの解説を行います。あまり長時間話すと眠気を誘うのと、参加型の研修会の方が効果が髙まるので、こういった形式でやっています。

そのあと、参加者は自院所に帰ってから、何か一つ実践することを「宣言」してもらい、課題を持ち帰ってもらうことにしています。

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年5月15日号(第17074号)に掲載した「社会保障はどうなるか(5) 診療報酬改定に見るこれからの医療(1)」です。

医療費の「定価」にあたる、医科・歯科の診療報酬が4月1日から改定されました。診療報酬は2年に1回改定されます。一方、介護保険の「定価」である介護報酬は昨年4月に改定されており、こちらは3年に1回改定されます。

従って、2年後の2018年には、診療報酬と介護報酬の同時改定が行われ、相当大規模な改定が予想されます。また、この間、今後の医療・介護のありかたを根本的に変える「医療・介護総合推進法」(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための 関係法律の整備等に関する法律)や、その関連法の施行により制度の変更が行われています。

今回の改定は、そういった大きな制度改変の中で、それを準備する内容が含まれています。しばらく診療報酬の改定内容を解説しながら、その意味について考えていきたいと思います。

さて、高齢化が進んで医療費が大変だ、社会保障の財源をつくるために消費税増税が必要なので5%から8%に引き上げたのだと言いながら、今回の診療報酬の改定はマイナス改定でした。これまでの改定では、薬の値段である「薬価」の引き下げを一定の財源として、医師の技術料等にあたる「本体」部分の一定程度の引き上げに充ててきましたが、2014年改定からは、薬価引き下げと本体財源とは切り離すことになりました。

改定率は全体でマイナス1.44%です。本体部分はプラス0.49%、額にすると498億円とされます。薬価と材料費を合わせるとマイナス1.33%ですが、それ以外に「外枠」として、引き下げが行われています。

外枠1として、これまでは「薬価引き下げ」として発表されていた市場拡大再算定分(予想以上に販売額が大きいもの、表現は悪いですが「バカ売れ」したもの)がマイナス0.19%です。外枠2として、4月号で触れた特例拡大再算定(年間販売額が1500億円超かつ予想販売額の1.3倍以上となる製品は、最大50%引き下げる)制度によるものがマイナス0.28%です。これ以外に外枠3として、湿布薬の枚数制限や、入院患者の食事として提供される経腸栄養製品の見直しなどがあり、マイナス0.13%で、これらの総計は2000億円近くになり、医療費本体の引き上げはまだまだ可能だということになります。

診療報酬本体が引き上げになったからと言って、すべての医療機関の収入が増えるわけではありません。引き上げになる項目もあれば、引き下げになる項目もあるので、医療機関によって異なるのが実際です。在宅医療重視といいながら、3月までと比べて4月の収入が減ることもあります。

例えば、医療機関が計画的に患者宅(施設)を訪問して診療を行う「訪問診療」を在宅患者に対して月に2回以上行うと、3月までは在宅時医学総合管理料を4,200点算定できました(※)。4月からは、末期の悪性腫瘍、難病法に規定された指定難病、真皮を越える褥瘡(相当深い褥瘡です)患者や、在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、気管切開、留置カテーテルなどの「別に定める患者」は4,600点とアップしましたが、それ以外の場合は3,800点に下げられています。相当重度の患者を中心にみている医療機関以外は減収になると思われます。

次回から詳しく見ていきます。

※強化型ではない在宅療養支援診療所で、院外処方箋を発行する場合の例です。マンションなどの集合住宅で、同一月に複数算定する場合は、点数が異なります。

6月26日に開催された、香川医療生活協同組合の総代会で採択された、総代会アピールを紹介します。

公布70年、日本国憲法と立憲主義を取り戻そう

総代会で理事長あいさつを行いました。挨拶の内容は、第809回(6月28日)に掲載しています

総代会で理事長あいさつを行いました。挨拶の内容は、第809回(6月28日)に掲載しています


日本国憲法は、70 年前の 11 月3日に公布されました。300 万人以上の日本人を含む数千万人が犠牲となった第2次世界大戦が終結し、日本の戦争犯罪とその責任が問われるもとでの公布でした。日本政府が受諾した「ポツダム宣言」に示された「日本軍隊の無条件降伏」「世界征服に赴かせた権力の永久排除」「言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重」「自由意志による平和的かつ責任ある政府の樹立」等の実施と、戦前の軍国主義体制下で抑圧された平和と民主主義の実現を求める、国内外の声を背景に日本国憲法は制定されたのでした。

制定された日本国憲法は、戦争で大切な家族を失い傷ついた国民によって受け入れられ支持されました。国民は、憲法が示す平和主義や基本的人権を大切にし、憲法に違反する法律の改正を政府に求め、「憲法をくらしに活かす」とりくみを重ねてきました。この 70 年間、国民は日本国憲法とともに育ち、立憲主義を育ててきました。

昨年、強行成立した安全保障関連法(安保法)は、国民が 70 年間育ててきた平和主義・立憲主義に真っ向から反するものでした。安保法への怒り・不安はいまだに収まらず、廃止を求める署名は 1,200 万人を超えて集まり続けています。憲法記念日に行われた世論調査でも、9条を含む憲法改正に対しては反対する意見が多数を占めました。世界中でテロが続きアジアでの緊張が高まる情勢のもと、日本国憲法の平和主義、憲法9条の無力が叫ばれ、抑止力の保持が主張される中で迎える憲法公布 70 年の今年、日本国憲法・立憲主義を守り活かせるかが、私たちに改めて問われています。

1947 年8月2日に当時の文部省が、日本国憲法の解説のために中学生向け社会科の教科書として発行した「あたらしい憲法のはなし」は憲法9条について、「決して心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」と説明しました。私たちは、憲法に反する安保法の廃止を求めること、武器を携えた自衛隊員を紛争地域に向かわせてはいけないことが、「正しいこと」であることを知っています。70年間国民とともに育ってきた日本国憲法の生命力、先進性、国際社会での影響力を知っています。

「正しいことぐらい強いものはない」という確信を持って安保法廃止を求める運動にとりくみましょう。そして、日本国憲法と立憲主義を取り戻すため力を尽くしましょう。

2016年6月26日
香川医療生活協同組合 第37期第48回通常総代会