毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 3月 2016

前回は、「地域包括診療料」について触れましたが、今回は「地域包括診療加算」です。

これは、診療所しか算定できないもので、健康相談をしている、24時間対応をしている薬局と提携している、敷地内が禁煙である、介護保険の相談に乗ったり主治医意見書を記載している、在宅医療を提供し24時間電話対応をするか在宅療養支援診療所である、などの施設基準があります。

高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の疾患を有する患者が適応で、1回の診療のたび200円が加算されます。

この「地域包括診療加算」の届け出を行っている診療所で「認知症地域包括診療加算」が算定できるようになりました。1回300円です。認知症以外に1以上の疾患を有しており、1処方につき内服薬の数が5種類以下、1処方につき抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬または睡眠薬の投薬が合わせて3種類以下などが対象となります。

いずれも、一人の患者に対し、「私が主治医だ」と宣言する形になっています。今回の改定で、どこまで広がっていくのか、注視する必要があります。

(この項続く)

外来では、「かかりつけ医」機能の評価として、「主治医」を明確にする「地域包括診療料」が14年4月の改定で導入されました。

高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の疾患を有する患者が適応で、再診料や検査、レントゲンなどの画像診断、訪問診療などは包括化(マルメ)される一方、1カ月に約1万5千円の収入になるというものです。

診療所の場合、この点数を算定するには、3人以上の常勤医師が勤務、24時間電話対応が可能、在宅療養支援診療所であることが要件で、かなりハードルが高いものでした。また、主治医を決めるため同じ医療機関であっても他の医師が診察した時には算定できないなどの条件があり、14年7月時点での届け出件数は全国で122施設しかなく、15年7月には93施設に減少してしまいました。四国では、香川県、愛媛県、高知県に各1施設、徳島県ではゼロです。

今回、常勤医師が2名以上に緩和されるなど、若干の変更がなされましたが、医療機関側がどう対応するか注目されるところです。

この「地域包括診療料」の届け出を行っている医療機関で、今回新たに算定が可能になるのが、「認知症地域包括診療料」です。認知症以外に1以上の疾患を持っている、1処方当たりの薬剤が5種類以下などの条件をみたせば、月に1回、約1万5千円の収入になるというものです。他の医療機関が地域包括診療料を算定していても、病名が重複しなければどちらの医療機関でも算定が可能です。

(この項続く)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年3月20日号(第1701号)に掲載した、「社会保障はどうなるか(3) TPPと医療について(2)」です。

TPPが医療にどう影響するかについて考えてみます。

新しい診断方法、治療方法や手術方法など医療技術に係る特許について、内閣官房TPP政府対策本部が2015年11月5日に明らかにした「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の全章概要」では、第F節(特許及び開示されていない試験データその他のデータ)で、次のように規定しています。

「○特許を受けることができる対象事項(第18.37条)

各締約国は、新規性、進歩性及び産業上の利用可能性のある全ての技術分野の発明(物であるか方法であるかを問わない)について特許を取得することができるようにする」。

一方、2016年1月7日に公表された、TPP協定の暫定仮訳によれば、
「締約国は、また、次のものを特許の対象から除外することができる。(a)人又は動物の治療のための診断方法、治療方法及び外科的方法」
となっています。

つまり、医療技術などは、あくまで、締約国が「除外することができる」としているだけで、締結国の判断により特許の対象になる可能性も否定できません。

日本でも、医療にかかる技術等の特許については、2002年11月14日に開催された、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会医療行為第2回WGで議論されたことがあります。

その中で、日本では特許の審査基準により、人間の診断・治療・手術法は特許の対象とはならないが、米国ではそうではないとして、以下のように紹介されています。

「米国特許法には不特許事由に関する規定は存在しない。したがって、医療関連行為発明に関する特許出願は新規性等の特許要件を審査され、拒絶理由がなければ特許権が付与されている」「1993年、白内障の手術方法について特許権を有していた医師が、同様の手術方法を行っていた別の医師及び病院を特許権侵害により訴える事件が発生した」

「この事件が契機となり、1996年に特許法が改正された」として、「『許諾を得ていない他者の行為を排除する』という特許権の原則は変更されなかった。そのため、形式上は医師等の医療行為が特許権の範囲に含まれる場合には侵害とされ」ます。

ただ、「これらの行為者は差止・損害賠償の請求の対象から除外されることが明確に規定され」ており、「特許」として認められるが、人体に応用した時,つまり、医師が行う医療行為については実質的に特許権を行使できないことになります。

しかし、TPPを機に、医療技術が特許の対象となるべきであるといった議論がおきてくる可能性は否定できません。日本の国内法そのものが俎上に上れば国家の主権に関わる問題となります。

2016年3月11日

東日本大震災・原発事故を風化させないとりくみを
~「3・11」から5年目にあたり~

日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事藤原高明

 

2016年3月11日、未曾有の被害を生んだ東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から、丸5年目を迎えます。

いまなお15万人が仮設住宅でのくらしを余儀なくされ、避難生活を強いられている人は全国で17万人を超えます。被災地以外では震災への関心が薄れつつあるとも言われていますが、復興は遅々として進んでいません。災害公営住宅の建設も遅れ、支援打ち切り、縮小がされています。「仮設から公営住宅へ、仮設から仮設へ」の転居でコミュニティが再び失われることも、住民の不安を大きくしています。長引く避難生活は、被災者の身体的・精神的な健康状態に深刻な影響を及ぼしています。

国が2016年度からの財政支援継続を明示していないため、被災3県では医療費窓口負担の免除措置を解除する市町村が生じています。

全国の医療福祉生協と被災地の医療福祉生協は、健康チェックやサロン活動で、地域の人々の結びつきを広げ、いのちと健康、くらしを守ってきました。子どもの健康や食の安全についても、協同組合間協同を活かしたとりくみをすすめています。新しい支部や班、相談活動の拠点が立ち上げられるなど、地域のコミュニティづくりに大きな役割を発揮しています。

原発事故は住み慣れたまちを人々から奪い、5年が経過しました。放射線汚染の除染も不十分なまま次々と避難指示が解除され、帰還誘導が行われようとしています。福島県の医療福祉生協は、被ばく量の測定や甲状腺検査など住民の放射線に対する健康不安にこたえるとりくみを継続しています。一度起きれば未曾有の事態を引き起こす原発は、再稼働すべきではありません。

「健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。」を理念に掲げる医療福祉生協は、次のとりくみを強化します。

・震災と原発事故を風化させず、被災地の復興支援活動を継続します。

・くらし、医療・介護・福祉事業の再建に向け、国に対し、抜本的な施策の拡充を求めます。

・原発再稼働に反対し、原発に頼らないエネルギー政策への転換を求めます。

 

以上

前回に続き、在宅医療の変更です(3回目)。

これまでは、平日の昼休み時間帯の往診も、日曜日(休・祝日も同じ)の昼間(午前8時~午後6時)の往診も扱いは同じでしたが、休日の往診が夜間と同じ扱いになります。休日の呼び出しに応じても平日と同じ扱いというのには若干の違和感がありましたが、正当な評価になりました。

在宅緩和ケア充実診療所・病院加算が新たに設定されました。従来の強化型在宅療養支援診療所(※1)や在宅療養支援病院であって、過去の1年間の緊急往診が15件以上、在宅看取り件数が20件以上、末期の悪性腫瘍患者への鎮痛療法の実施などについての細かな要件があり、高いハードルですが、要件を満たせば、往診への加算や在宅での看取りの加算点数が高くなります。

上記の強化型ではない、在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に対する「在宅療養実績加算」=時間外の往診や在宅看取りを評価するもの=が変更されました。従来の在宅療養実績加算が在宅療養実績加算1とし、少しハードルを下げた在宅療養実績加算2を新設しました。在宅療養実績加算2は、時間外等の緊急往診が4件(加算1は10件)、在宅看取りが2件(加算1は4件)で、少し緩和されました。在宅医療の現実に見合った変更だと思います。

(この項、続く)

 

※1:一つの診療所で算定可能な「単独型」と、2つ以上10未満の病院(200床未満)や診療所で構成する「連携型」があります。単独型の場合は常勤医3名以上が勤務しており、夜間往診などの緊急往診が直近1年で10件以上、在宅看取り件数が4件以上などの要件があります

前回に続き、在宅医療の変更です。

2014年4月の改定で、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの「同一建物」に入居している方に、同一日に複数の方に訪問診療を行ったときの訪問診療料(※1)が400点から203点に引き下げられました。さらに、月に2回以上訪問診療を行った場合に算定できる特定施設入居時医学総合管理料(特医総管)が、3,000点から720点に(※2)大幅に引き下げられました。

そのため、月2回施設に赴き複数の方の診療を定期的に行う場合、診療報酬が一気に3割以下に引き下げられることになりました。この突然の変更は現場に混乱をもたらし、在宅医療から撤退したり、月2回の診療のうち1回目は対象患者全員を診察し、もう1回は日にちを変えて診察する(2回のうち1回が一人だけの診察の場合は特医総管が従来通りの点数で算定できる)といった、笑えない実例が続出したようです。

今回の改定で、訪問診療料の「特定施設入居者」と「それ以外」の区別がなくなり同一点数で算定と、少し改善されました。また、特医総管について、同一日に何人診察したかで評価するのではなく、その建物に住む患者の数により算定する方式に変わり、こちらも少し改善されました。ただ、前回触れたように、末期の悪性腫瘍、難病法に指定する指定難病、人工呼吸器の使用など、従来なら入院医療を必要とする患者を施設で診た場合に、評価を高くするようになっています。

(この項、続く)


※1:特定施設に入居している場合の点数。1点は10円。特定施設とは、介護保険サービスの「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設のことで、介護付き有料老人ホーム、ケアハウス、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などの一部が該当します。

※2:在宅療養支援診療所(定義については前回参照)で、院外処方箋を発行する場合。

今回の診療報酬改定の狙いの一つは「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」です。「質の高い」が何を意味するのかは不明ですが、従来なら入院医療の適応であった患者を在宅で見ることを重視していること(患者追い出しとは言いませんが)は、間違いありません。

診療報酬制度は複雑なので、これから説明する内容は、「在宅療養支援診療所」(※)の届け出を行っており、「院外処方せんを発行している」場合の例示です。

訪問診療とは、計画的に患者さんの家(施設)を訪問し、診療を行うことですが、月に2回以上訪問診療を行うと1回あたり830点、さらに月に1回4,200点の在宅時医学総合管理料(在医総管)が算定できます。1点10円ですから、月に2回訪問診療を行うと、合計で6万円弱になります。検査や点滴を行うと別に算定できますから、一見収益が高いように思えますが、医師、診療所の看護師や訪問看護師など複数の専門家が24時間365日拘束される制度ですから、それほど多額とは言えません。そのため、厚労省が狙ったほど増えていないのでが現状です。

在宅重視の方針から考えたら診療報酬が増えるのかと思ったらそうではありませんでした。今回の改定で、在医総管の4,200点が、患者の状態により、4,600点に増える方と、3,800点に引き下げになる方に分かれることになりました。

引き上げになるのは、末期の悪性腫瘍、難病法に指定する指定難病などの他、人工呼吸器の使用、気管切開の管理、気管カニューレの使用、ドレーンチューブまたはカテーテルの使用など、従来は入院医療の対象だった患者を在宅にできるだけ移行させるための受け皿づくりといえます。

そのため、介護度が高く「手のかかる」患者だが入院の適応ではない患者(もとから入院していなかった患者)の評価より、現在入院していて早く在宅に移したい患者の評価の方が高くなっているといえます。

(この項、続く)

 

※在宅療養支援診療所は、医師または看護師に24時間連絡が可能で、往診や訪問看護の提供が可能な診療所です。詳細は、下記のHPを参照ください。

http://www.ncgg.go.jp/zaitakusuishin/zaitaku/documents/08_2-2.pdf
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