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Monthly Archives: 1月 2016

「骨太方針2015」は15年6月に公表され、社会保障削減を目的とする「経済・財政一体改革」を掲げ、44項目の「改革検討項目」を示しました。そのうち、年と生活保護を除く38項目が医療・介護関連です。

その内容は、①医療・介護提供体制の適正化、②インセンティブ改革、③公的サービスの産業化、④負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、⑤薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革です。

この「改革」は20年までを計画期間としていますが、16年から18年の最初の3年間が集中期間とされています。したがって、この内容が、早ければ16年度予算に盛り込まれるということになります。

保団連(全国保険医団体連合会)の医療運動推進本部事務局が12月にまとめた資料を参考にしながら、内容を紹介したいと思います。

「改革工程表」によれば、患者負担増につながる「改革検討項目」は、関係審議会等で具体的内容を検討し16年末までに結論を出し、17年に「必要な措置」が講じられます。法改正が必要ない場合には、政省令の変更で一気に改悪していくことになります。

1.受診時定額負担の導入

外来受診するときの主治医(かかりつけ医)を決め、それ以外の医療機関を受診したときに現在の負担(1割から3割)に加え、一定額(100円から500円が想定)の負担を強いるものです。3割以上の負担を認めれば、2002年の健康保険法改正(平成14年8月2日法律第102号)時の附則第2条の「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり100分の70を維持するものとする」に、明らかに違反します。

2.高額療養費制度の限度額引き上げ

世代間の負担の公平、負担能力に応じた負担を求めるもので、高齢者にのみ設けられている外来の医療費負担の特例措置を廃止するもです。財務省案によれば、下記の通りになります。

現在 財務省「建議」(案)
現役並み所得(年収約370万以上) ¥44,000 ¥87,000
一般所得(~年収約370万円) ¥12,000 ¥58,000以上
住民税非課税 ¥8,000 ¥35,000
※医療費が100万円の場合

現役並み所得で入院の場合は、所得水準に応じてさらに引き上げが行われます。さらに、上記表では、現役並み所得が370万円以上になっていますが、これも基準の引き下げが検討されており、際限のない負担増になります。

 

(この項、続く)

地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障改悪の内容を連載しています。2015年11月15日号(第1689号)に掲載した、「第10回 病床機能報告制度と地域医療構想(上)」で、一部修正しています。

「医療・介護総合法」で、「病床機能報告制度」ができ、2014年10月1日に施行されました。これは、「医療機関が担っている医療機能の現状と今後の方向を選択し、病棟単位で、都道府県に報告する制度」です。

とりあえず今のところは、医療機関が自主的に病床機能について選択できる仕組みになっています。

ところで、医療機能とは以下の4つです

①高度急性期機能(急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能)
②急性期機能(急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能)
③回復期機能(急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能)
④慢性期機能(長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能)

高度急性期機能と急性期機能の違いが今一つはっきりしませんが、高度急性期病院とは、その地域で最高の医療機器が揃っており、殆どの分野の専門家が揃っている病院といったイメージでしょうか。

香川県の場合、15年3月末までの報告によれば、175施設(78病院、97有床診療所)の合計病床は12,587床です。内訳は、高度急性期が1,198床(9.5%)、急性期が6,367床(50.8%)、回復期が1,086床(8.7%)、慢性期は3,611床(28.7%)です(回答なしがあるので、合計は100%にはなりません)。

これらの病床を今後どうコントロールしていくかを決めていくのが「地域医療構想」で、「医療・介護総合法」では「都道府県は、国が示す地域医療構想策定のためのガイドラインに基づき、また、地域の医療需要の将来推計や報告された情報等を活用して地域医療構想を策定する」ことになっています。

3月18日に開催された「第9回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」で提案されたガイドラインに基づき、全国で病院ベッドのあり方について、議論が開始されました。

香川県でも、9月9日に第1回香川県地域医療構想策定検討会が開催されています。県が公表した資料によれば、25年には、急性期病床は2,992床過剰、慢性期は1,374床過剰とされました。この推計について、「病床を強制的に削減していくという趣旨」ではない、としています。

しかし、医療法によれば、県知事が講ずることができる措置として、既存医療機関による医療機能の転換への対応について、過剰な医療機能に転換しようとする場合、転換にやむを得ない事情がないと認める時は、医療審議会の意見を聴いて、転換の中止を要請(公的医療機関等には命令)することができるとしています。

また、医療計画の達成の推進のために必要な場合、県知事は公的医療機関等以外の医療機関に対して、医療審議会の意見を聴いて、稼働していない病床の削減を要請することができます。医療機関が要請に従わない場合は、県知事が勧告を行い、従わない場合や、公的医療機関が上記の命令・指示に従わない場合には、現行の医療法上の措置(管理者の変更命令や公的医療機関への運営の指示等)に加え、医療機関名の公表、各種補助金の交付対象や福祉医療機構の融資対象からの除外、地域医療支援病院・特定機能病院の不承認・承認の取消し、などの強制措置ができるようになっています。

結局、県の決めた方針通りに病床が削減されることは間違いありません。

香川県保険医協会の会報の15年12月号の主張欄に掲載した、4月に行われる診療報酬改定に関する文章を紹介します。一部修正しています。

中医協(中央社会保険医療協議会)は、16改定に向け週2回のペースで開催されています。15年12月9日には「診療報酬改定の基本方針」を明らかにし、12月11日には審議結果について厚労相に上申しました。

15年6月30日に閣議決定した「骨太方針2015」の中で、20年度に「財政健全化」目標を達成するため「歳出改革の重点分野」に位置付けた社会保障の削減の第一歩となる、マイナス改定の方針を明らかにしました。

一方、多くの医療団体は、診療報酬のマイナス改定に反対しています。

11月19日には保団連などで構成される医療団体連絡会議は「診療報酬のプラス改定を求める緊急行動」を開催しました。11月27日に開催された日本臨床外科学会の「医療と消費税」をテーマとする討論会の最後に、学会長が「これ以上の医療費抑制政策はとるべきではない」と、提言しました。

12月9日には日本医師会など医療・介護・福祉関係の40団体でつくる国民医療推進協議会が「国民医療を守るための総決起大会」を開催、「プラス改定」を求めています。

中医協の議論も、現行診療報酬の引下げが基調となっています。

11月4日の中医協総会では、第20回医療経済実態調査の結果が示されました。今回は、平均値とともに最頻値が示され、平均値と最頻値の間に大きな開きがあることが明らかになりました。入院を含む一般診療所全体の医業収益の伸び率は、平均値で▲0.2%、最頻値では▲1.5%でした。

物品や薬剤の購入高の多い病院は消費税負担が大きい訳ですが、病床規模に関わらず赤字が継続しています。国公立や医療法人を含む一般病院全体の損益差額率は▲1.7%から▲3.1%に拡大しています。

政府は、技術料などを0.49%引き上げる一方、薬の価格と医療器具の材料費を合わせて1.33%引き下げ、診療報酬は8年ぶりに引き下げられると報じられています。技術料があがれば医療機関の経営が改善する訳ではありません。診療報酬全体の引き上げがなければ経営は改善しません。

診療報酬は実質マイナス改定となりますが、プラス改定を求める現場の声をあげていく必要があります。

香川県保険医協会の会報の15年11月号の主張欄に掲載した、4月に行われる診療報酬改定の動向に関する文章を紹介します。一部修正しています。

16年4月に診療報酬が改定されます。

安倍内閣は昨年の6月30日に決定した「骨太方針2015」の中で、20年度に「財政健全化」目標を達成するため、社会保障費の削減を「歳出改革の重点分野」に位置付けました。

財務省は10月30日の財政制度等審議会の分科会で、16年度予算の焦点の一つである診療報酬についてマイナス改定が必要との考えを示し、厚労省も16改定の基本方針の中で、マイナス改定を示唆する方針を掲げています。

中医協(中央社会保険医療協議会)の総会や専門部会などで基本的な論議が行われており、診療報酬の細かな内容はこれからになりますが、現在問題になっていることについて触れます。

これまで、薬価引き下げ分を診療報酬本体に振り替え、改定の財源としてきました。今回は、「市場価格を反映した薬価改定」として振り替えを否定、「診療報酬マイナス改定」により、「医療費の伸びを抑制」するとしています。

薬剤では、湿布を含む鎮痛消炎剤やビタミン剤、うがい薬などを、例外なく保険給付から除外することが検討されています。後発医薬品の薬価引き下げや、特許切れ先発医薬品の引下げを行う一方で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算を拡大することが検討されています。新薬創出加算の対象となる薬剤費は総薬剤費の3割にまで拡大しており、医療費を圧迫しています。

「医療提供体制の適正化」として、7:1看護体制の要件を厳しくし事実上の「患者追い出し」に向かうのではないかという懸念があります。

紹介状なし大病院受診時の定額負担についても、一定規模以上の医療機関では徴収を義務づける、大病院の範囲や、定額負担を求めない患者・ケースについて、定額負担の金額などが議論されています。

議論の詳細はこれから明らかになりますが、注意深く見守り、現場からの意見を上げていく必要があります。

1月12日、東京都内のホテルで、日本生活協同組合連合会・日本コープ共済生活協同組合連合会・日本医療福祉生活協同組合連合会の3生協連合会による賀詞交歓会が、内閣、国会議員、政党、協同組合団体、医療・福祉団体など約1,100名の出席のもとに盛大に開催されました。

医療福祉生協連からは、会長理事として私も参加しました。

毎年参加していますが、年々医療福祉生協の存在感が増していることを感じています。今年は国会が開催中なので国会議員の参加が危ぶまれましたが、多くの方に参加していただくことができました。

引き続き、医療福祉生協連の活動を広げていきたいと思います。

香川県保険医協会報の「社保のコーナー」に、医療保険制度改革法に関する連載を行っています。2015年11月号掲載分で、一部修正しています。第768回(2015年12月22日付)の続きです。

国民健康保険制度の都道府県単位化の問題点です。

国民健康保険料(税)は自治体により差が大きく、香川県でいうと、8つある市のモデルケースで、善通寺市が最も高く62.3万円、東かがわ市が最も少なく54.2万円で、8万円の差があります(いずれも概算で年額。43歳で年収550万円、専業主婦と子ども2人のケース)。

こういった違いは年齢構成の差により医療費が異なる、一般会計からの繰り入れの差など、様々な要因があるので、一概に良い悪いを示している訳ではありません。

これだけの地域格差があるなかで、都道府県単一化により、保険料が「平準化」されるとどうなるでしょうか。

「平準化」といっても実際には高い水準に統一されることは容易に予想されます。いまでも高すぎて払えない国保料(税)が、さらに高騰する可能性があります。

また、「保険者努力制度」を創設し、後発品使用割合、前期高齢者一人当たり医療費、保険料収納率等の、医療費の適正化に向けた取り組みを行う自治体に対し、財政支援を行うとされています。医療費削減の取り組みを、国と自治体で行っていく新たな仕組みづくりと言えます。

保険医等の参加する国保運営協議会を設置し、運営の在り方の見直しをすることになっており、今後の方向性を見ておく必要があります。

注:自治体により、国保税、国保料と呼び名が異なっています。

日本医療福祉生活協同組合連合会の、代表理事会長理事として新年の挨拶をHPに掲載しましたので、紹介します。


新年のご挨拶

健康をつくる、平和をつくる、いのち輝く社会をつくる

日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 藤原高明

明けましておめでとうございます。
20160108

医療福祉生協は、安心してくらせるまちづくりをめざして、医療・介護の事業と健康づくりの活動をすすめています。

昨年の総会で「すこしお生活」(すこしの塩分ですこやかな生活をめざす、医療福祉生協のとりくみの総称)を提唱しました。「すこしお生活」は、塩分摂取を減らすことで生活習慣を改善し、高血圧、脳卒中や要介護状態の発生を抑えるとりくみで、組合員は料理教室や味覚体験企画、家庭でできる塩分チェックなど、楽しく学びながら食生活の改善をすすめています。

また、健康な生活習慣の定着のために行政やマスコミ、学校などの後援も得て、「健康チャレンジ」企画を実施しています。昨年は全国でおよそ10万人が食事や喫煙、睡眠、運動などの目標にチャレンジしました。今年も引き続き“健康長寿”延伸に向けて、組合員をはじめ地域住民の健康づくりに貢献してまいります。

安心してくらせる地域であるためには、人と人のつながりが重要です。私たちは地域の誰もが気軽に集うことのできる「居場所」づくりにとりくんできました。現在約780か所の居場所を組合員が運営しています。今年は、見守り活動やくらし助け合いのボランティア活動を、高齢者や子どもの貧困・孤立・孤食など多世代交流の活動へと幅を広げてまいります。

東日本大震災から今年で5年が経過します。今なお住み慣れた家から遠く離れた場所で新年を迎える方が多くいます。昨年は「東日本大震災復興支援活動交流集会in福島」を開催しました。私たちは、震災を風化させず、被災された方々のくらしを支える活動を継続します。

医療福祉生協は、「健康をつくる、平和をつくる、いのち輝く社会をつくる」を理念に掲げ、当面する2020年ビジョンの達成に向け、組合員の要求を事業活動・組合員活動で実現してまいります。医療福祉生協に対する皆さまの一層のご指導・ご鞭撻をお願い申し上げるとともに、本年が皆さまにとって実り多き一年となりますよう心からお祈り申し上げます。


日本生協連(日本生活協同組合連合会)浅田克巳会長の医療福祉生協連への新年の挨拶は、以下のアドレスを参照ください。
http://www.hew.coop/2016/01/17828.html

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

大みそかには近くのお寺の鐘つきにいって、その帰りに近くの神社に行きます。例年に比べ暖かかったためか、獅子舞を見ている方が例年よりは多かったようです。

大みそかには近くのお寺の鐘つきにいって、その帰りに近くの神社に行きます。例年に比べ暖かかったためか、獅子舞を見ている方が例年よりは多かったようです。

昨年の介護保険サービス費の定価を示す介護報酬制度の改定に続き、今年は医療費の定価を示す診療報酬改定の年です。

社会保障に係る費用は、高齢化に伴う「自然増」は年間1兆円とされます。厚労省の当初の予算要求は、これを約6,700億円に削減する予定でしたが、財務省の方針に従い5,000億円としました。当然、診療報酬は削減となります。

ただでさえ、人員不足、経営的にも厳しい現状からみて、医療機関には大変厳しい内容になることが予想されます。

また、昨年は、日本が海外で戦争をする国に道を開く戦争法が自民党・公明党等の強行採決により強行されました。

今年は、医療福祉生協連の「健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。」という理念が輝く年であるとも言えます。

健康づくりや、安心してくらし続けられる社会をつくる活動とともに、まさに正念場と言える年になります。

これまで以上に、メッセージを発出する1年にしたいと思います。