毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 8月 2015

平和安全法制の審議が進むにつれ、政府・防衛省の説明が次々と変わって来ました。当初「日本人の乗っている船を救助する」といっていた政府が、「日本人が乗っていなくても」構わないと言い出しました。

こんないい加減な議論で、法案の成立を許すわけにはいきません。速やかに廃案にすべきです。100歩譲っても、衆院での再審議が必要だと思います。

8月26日の参院安保法制特別委員会で、イラク派兵の経験をまとめた陸上自衛隊の内部文書「復興支援活動行動史」を元に質疑が行われました。辰巳孝太郎議員(共産)の質問に対し、中谷防衛大臣は「総輸送力の99%を民間輸送力に依存」と明記されていることを認めた上で、民間航空機では、日本航空、アントノフ航空(ウクライナ)、ブリティッシュ・エアウェイズ(英国)、タイ国際航空を利用したことを明らかにしました。

しかも、武器・弾薬の輸送も含まれるか、という質問に対して、中谷防衛相は当初「人道支援物資」だとごまかしましたが、最終的には武器・弾薬も「含まれている」ことを認めました。

武器・弾薬の輸送を行っていれば、当然攻撃の対象になります。しかも、この「輸送」は、イラク特措法によるものではなく、一般的な契約に基づくものだと答弁しました。

国内での「輸送」行為に伴う労働は、労働安全衛生法の対象になりますが、国外で行われる「労働」についてはその対象となりません。従って、事故が起きても、「一般的な契約」に基づく海外の労働ですから、日本国内の法制では、対応に限界があります。

下手をすると、生命保険などの保険に入っていなければ、何の保障もないことになるかもしれません。さらに、生命保険などの「保険」は、通常は戦時に適応されませんから、今回の法案が想定する「戦闘地域」でのできごとであれば、いくら高額の生命保険に加入していても支払いの対象にはならないのではないでしょうか。

民間人も巻き込むことが明らかになった以上、今回の法案は速やかに撤回すべきだと思います。

8月24日付「朝日」が、「病院経営 消費税8%ショック」という見出しで、昨年4月からの消費税増税の医療機関への影響を報じました。

建前上は医療に係る消費税は非課税ということになっており、医療を「利用する消費者」である患者には負担はない、ということになっています。しかし、医療に使用する薬剤や診療材料や医療器械などには消費税が発生し、最終消費者である医療機関が、納税しています。大企業が下請け企業に消費税を転嫁するように、患者に負担をお願いすることは法律上できない訳です。しかも、医療費は公定価格ですから、勝手に値上げをすることもできません。

薬剤であれ医療器械であれ、購入高が多ければ多いほど、消費税負担は激増しますから、大病院ほど影響は大きくなります。今回の「朝日」の記事では、千葉大学では、職員用トイレに「節約しませんか?ペーパータオルはたくさん取らずに1枚だけ」という貼り紙がある。聖マリアンナ医科大学病院では、米マイクロソフト社の基本ソフトであるWindows XPの更新を延期して約20億円の経費を浮かせた、としています。

医療機関の消費税負担に対応して、厚労省は診療報酬に消費税分を上乗せしている(となれば、患者も負担していることになるのですが)と説明していますが、2年に1回の診療報酬改定時には、その点は考慮されず引下げが行われていますから、医療機関の経営を圧迫することになります。

医療機関も設立主体により、個人、医療法人、日本赤十字社、厚生連、独立行政法人、医療福祉生協など、根拠法が異なるために、税制上の優遇措置があります。そのため、医療機関により主張は異なります。

「朝日」は、「医療界には控除や還付を求める意見が強い。税率については免税や軽減税率、標準税率まで意見が分かれている」「一枚岩とはいえない」と言いますが、背景にはそういった事情もあるのです。

しかし、消費税が8%になり、多くの医療機関が経営が苦しくなっているのは事実であり、このまま10%増税には到底耐えられないという声が大きいのです。

消費税増税は行うべきではありません。

香川県保険医協会の機関紙である「香川県保険医協会報」の2015年7月号の「主張」欄に掲載した文章を再掲します。一部修正しています。

安倍政権は、国民の8割が「説明が不十分」(共同通信・日経新聞・読売新聞など)とする中で、集団的自衛権行使を具体化するための平和安全法制2法案(平和安全法制整備法案、国際平和支援法案)を衆議院で採決可決し、参議院に審議の場が移りました。

国会で論議が進むたびに、法案に「反対」、安倍政権「不支持」の声が広がる状態になっています。参考人として招致された憲法学者はもちろん、憲法の番人とよばれる歴代法制局長官、最高裁の元判事も、違憲であると意見を述べました。憲法違反の法律を国会で決めることは本来できないのです。

政治を進めるのは政治家であるという主張もありますが、政治の暴走を止めるのが憲法であり、日本国家は「立憲主義」でなりたっています。政治をコントロールするのが「憲法」ですから、こういった「暴走」は許されるべきではありません。

この法案に対して、大多数の憲法学者や弁護士などの専門家だけでなく、多くの国民、とりわけ若い世代が反対運動を全国各地で行っているのが特徴です。

国会の審議の中で明らかになったのは、集団的自衛権の行使は、時の政権の判断でいくらでも拡大できることです。アメリカ軍だけでなくオーストラリア軍も含むものとされ、地球の裏側までも自衛隊を派遣できることが明らかとなりました。

この法案が通れば、戦後70年間「平和国家・日本」が世界に果たしてきた役割を投げ捨てることになります。殺し殺されることの無かった自衛隊が、海外で殺し殺される軍隊となります。人道支援にとりくむNGOやNPO関係者が、攻撃の対象となる可能性も格段に増えます。

第2次世界大戦で、310万人の日本人の命が失われ、2,000万人を超えるアジアの人々の命が失われました。その痛恨の教訓から生まれたのが「憲法9条」です。憲法9条を「解釈」により、ないがしろにするべきではありません。いのちを大事にする医師として、声をあげていくべきではないでしょうか。

安倍首相の「戦後70年談話」が8月14日に公表されました。この文章を読んでみて、何か違うという違和感が残ります。

談話を出す前に取りざたされた「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」といういわゆるキーワードは入っているものの、「誰が」そう考えたのか、日本にその責任があるのかを示す、「主語」がないからだと思います。

例えば「侵略」とういう言葉は、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」というフレーズの中で使われ、あくまで一般的な問題として取り扱われ、日本が侵略を行ったという「歴史認識」を明らかにしたものではありません。

一般論、引用の中に逃げ込んだ談話、というのが率直な感想です。

「談話」を出すのであれば、首相としての歴史認識を明確にするのが本来の談話の役割だったのではないでしょうか。

8月17日の「朝日」は、外務省のホームページから、「政府の歴史認識やアジア諸国への『反省とおわび』に関する記事を削除していた」と報じました。

やはり、「痛切な反省」は安倍政権以前の歴代政権のものにすぎない、と自ら認めたものではないでしょうか。

戦後70年、被爆70年の節目の年になる今年の8月15日を迎えるに当たり、日本医療福祉生協連会長理事として、歴史認識を明確にするため「談話」を出しましたので、紹介します。

タイトルは8月15日ですが、広島の原爆投下の日に合わせ、6日付で発出しています。

平和へのあゆみを止めることなく
~70年目の8月15日に~

2015年8月6日
日本医療福祉生活協同組合連合会
会長理事 藤原 高明

全世界に惨禍を招いた第2次世界大戦が終了して70年目の8月15日を迎えます。平和国家として歩んできたこの国のかたちを変えてしまう集団的自衛権行使の容認が閣議決定され、海外で戦争をする国づくりにつながる平和安全法制が審議される中で迎える8月15日です。全国の組合員・役職員のみなさんと、この70年の意味を考えてみたいと思います。

沖縄~辺野古新基地建設は許さない

日本で唯一の地上戦を経験し県民の4人に1人が犠牲となり、“銃剣とブルドーザー”によって奪われた土地につくられた米軍基地は70年にわたって沖縄のひとびとを苦しめてきました。

翁長雄志沖縄県知事は、菅官房長官との会談で米軍基地用地接収の経緯に触れ「自ら奪って県民に苦しみを与えておいて、普天間基地は世界一危険だから、危険性除去のために沖縄が負担しろ、代替案は持っているのかと。こういった話をすること自体、日本の政治の堕落ではないのか」と述べました。この言葉は、政府に向けられたものですが、その重みを受け止め、沖縄のひとびとに連帯しなくてはなりません。

私は改めて普天間基地に代わる辺野古への新基地建設に反対を表明するとともに、「沖縄の土地も海も森も川もすべて沖縄のひとびとに返せ」と、強く主張したいと思います。

 

広島、長崎、福島~核兵器廃絶と原発廃炉を求める

この70年は、広島、長崎への原爆投下からの70年でもあります。広島の原爆死没者慰霊碑の「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」という誓いは、「全人類の過去、現在、未来に通ずる広島市民の感情であり良心の叫び」であり続けました。

2009年4月にオバマ大統領は、プラハ演説で「米国が核兵器のない平和で安全な世界を追求すると約束します。私たちは保有量を減らす作業を始めます」と述べましたが、核兵器削減に向けた具体的な動きは中断しました。今年のNPT(核不拡散条約)再検討会議では、核兵器廃絶をめざした合意文書は採択されませんでしたが、会議の開催に向けて市民社会グループは大きな役割を果たしました。潘基文国連事務総長はその役割を評価し、「感謝」と「全面的な支持」を表明しました。

人類にとって核エネルギーが制御不可能なものであることを示したのが、東京電力福島第1原子力発電所事故でした。事故の根本原因が究明されない中で、再稼働を急ぐ政府や電力会社の姿勢には怒りを禁じ得ません。

被爆70年にあたり、非人道的な核兵器の廃絶を求めるとともに、各生協が被爆の実相を継承する活動に、これまで以上に力を入れることを呼びかけます。そして、全ての原発をただちに廃炉にすることを求め、今なお苦しみの中にある福島のひとびとへの一層の連帯を表明します。

 

平和安全法制~憲法違反の法案は廃案に

参議院で審議されている平和安全法制は、昨年7月1日に閣議決定された集団的自衛権の行使を具体化するためのものです。法案に反対あるいは慎重審議を求める議会意見書も多数採択されています。幅広い世代の多くの団体・個人が法案を批判し、いずれの世論調査でも過半数が法案に反対の意思表示を行っています。

安倍首相は北朝鮮や中国を名指しして、「抑止力」としての法案の必要性を強調しています。しかし、「武力には武力で対抗するしかない」という主張は思考停止に等しく、国家間の緊張関係を拡大し偶発的な衝突を生みかねない危険なものです。そして、武力の行使が「限定的・必要最小限」で終わるものでないことは、日本国民が身をもって体験したことです。いま必要なのは、外交努力を重ね相互理解によって信頼関係を構築することです。「憲法9条こそ平和を守る最大の力」であることを確信し、平和安全法制を廃案にするため全力をあげましょう。

 

日本国憲法と平和~いまこそ立憲主義と平和の意味を考えるとき

70年前の8月15日は日本の歴史の大きな転換点であり、歴史の歯車が回ったといえる日でした。同時に、アジアのひとびとにとっては日本帝国主義からの解放の日であり、多くの日本国民にとっては生命・財産を奪われる戦争が終わった日でした。

日本国憲法は、「わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」した日本国民の間に、70年間にわたって定着しています。

国際関係は複雑さを増していますが、日本がこの70年間、戦闘行為によって殺し殺される国で無かったことは、世界に誇るべき事です。

日本医療福祉生活協同組合連合会設立趣意書は、「人権の尊重と社会保障の充実をめざして行動します。いのちと健康を脅かす戦争に反対して行動します」と述べています。私は、会長理事として「健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。」という理念を実現するために行動することを改めて決意し、会員生協にも行動を呼びかけるものです。

以上

70年目の8月15日が近付いてきました。日本医療福祉生協連の会長理事として、8・15談話を発出することを検討しています。10月には、韓国でAPHCO(アジア・太平洋地域保健協同組合協議会)の総会が開催されます。その際の、APHCO会長としての挨拶でも、同様の内容を検討しなければいけません。

その際に重要なのは、「歴史認識」だと思います。

あの戦が侵略戦争であったことを明確にすること、被曝の問題と核廃絶にどう取り組むか、福島の原発事故に鑑みただちにすべての原発の廃炉を求めること、沖縄の基地は「銃剣とブルドーザー」により奪い取った土地に米軍基地が建設された歴史的事実を認識し、普天間基地に代わる辺野古への新基地建設に反対すること、違憲であることが明確な安保法制の廃案を求めること、などがポイントではないかと思います。